新着情報 泥土圧シールド掘削土量管理を高精度化 従来の質量、体積に「含水比」を加えたリアルタイム管理システムにより地盤沈下を防止

2026/03/19

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、シールドトンネル工事での周辺地盤に対する安全性を向上させるため、泥土圧シールド工法を対象とした高精度掘削土量計測管理システム(以下、本システム)を開発しました。本システムは、ベルトコンベヤーに設置した「3Dスキャナー(体積)」、「ベルトウェイヤー(質量)」とさらに「近赤外水分計(含水比)」を加えた複数の計測機器と、各計測データを記録し掘削土量を高精度かつリアルタイムに算出する「データ統合プログラム」とを連携させたものです。これにより、これまで困難とされていた泥土圧シールドにおける掘削土量の高精度かつリアルタイムな把握を実現しました。本システムを使用することで、土砂の過剰な取込みを防ぎ周辺地盤の沈下等の事故を防止します。

20260318_01.jpg
図-1 本システムの概要

開発の背景

近年、シールドトンネル工事では大規模な道路陥没事故の発生が複数報告されており、その主な原因として「掘削土量の計測管理の不備」が指摘されています。現在、大口径シールドで主流となっている泥土圧シールド工法では、ベルトコンベヤー方式で排出される掘削土量を正確に把握する手法がまだ確立されていません。既往技術では約5%の誤差が生じていることから、正確な掘削土量の計測手法が求められています。また、建設業界における深刻な人手不足を背景に、シールド工事全体の省人化や自動化に向けた技術開発も合わせて求められています。

本システムの概要

本システムは、ベルトコンベヤー方式の土砂搬送を対象に、複数の計測機器とデータ統合プログラムを連携させた新しい計測管理手法です。本システムの概要は以下のとおりです。

(1)新たな掘削土量算出理論の適用

「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」※1の掘削土量の計算式に、当社独自に「含水比」の計測値を取り入れた改良型の計算式を採用しました※2。これにより実際の計測が難しい過剰取り込み土量や掘削添加材の逸脱量をより正確に推定することができます。

(2)多角的な項目の計測

体積、質量、含水比の3つの計測値と、土質調査結果などから得られた既知の情報(実地盤の物性値等)を用いて、既往技術よりも正確に掘削土量を算出します。

  • ※1国土交通省シールドトンネル施工技術検討会:シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン,令和3年12月
  • ※2土木学会全国大会講演概要集,Vol180,2025:泥土圧シールド工事の掘削土量計測管理システムの開発(その1:システム概要)

本システムの特長

本システムの特長は以下のとおりです。

  1. 1土砂の性状によらず高精度な掘削土量の計測・管理が可能
  2. 2従来困難だった泥土圧シールド工法についてもリアルタイムに掘削土量を可視化
  3. 3各計測機器での計測および計測データの記録、掘削土量の算出を全自動で実施し現場管理者の負担を軽減

現場適用結果

本システムの有効性を検証するため、下水道シールドトンネル工事(トンネル外径3,200mm)にて実証実験を実施しました。システムの連続稼働は問題がなく、また本システムで算出された掘削土量(システム計算値)の真値に対する計測誤差は概ね3%以内で既往技術よりも高精度であることを確認しました(図-2、3)。

20260318_02.jpg
図-2 現場実証実験における計測機器配置
20260318_03.jpg
図-3 現場実証実験における掘削土量(体積)の算出結果

今後の予定

現在、掘削対象土質の変化に対応し、さらなる掘削土量計測精度の向上を図るため、掘削土の土質をAIを用いて判定するAI土質判定システムの開発に着手しています。

今後も当社は、これらの開発システムを活用して掘削土量の適切な管理を行いシールド工事の安全性の向上や、省人化、自動化に向けた技術開発に努めてまいります。