新着情報 洪水時の越水に耐える「粘り強い河川堤防」の法面保護技術を共同開発 模型実験で裏法面の侵食抑制効果を確認、2026年度に実物大実験へ

2026/03/31

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)と埼玉大学(学長:坂井 貴文)は国土交通省が掲げる“流域治水の推進”に貢献する取組として、洪水時の越水に対しても被害の拡大を抑える「粘り強い河川堤防」の実現に資する法面保護技術の研究開発を進めています(図-1)。
本取組では、越水時の被災拡大を抑制するための複数の技術アプローチについて、模型実験等による基礎的な検証と適用条件の整理を行っています。
今後は、社会実装を目標として実環境に近い条件での適用性確認を目的とした実物大での越流実験を2026年4月より実施予定です。

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図-1 開発技術概念図

背景

近年、豪雨の甚大化・頻発化等を背景に、防災・減災対策の重要性が高まっています。流域全体で水害リスクの低減を図る流域治水の考え方のもと、河川堤防には、計画規模の洪水を安全に流下させる機能に加え、それを上回る洪水に対しても被害の軽減を図る「粘り強い構造」が求められています。
令和元年の東日本台風による洪水で決壊した全国142箇所の河川堤防のうち、決壊要因は越水が8割以上という調査結果がでていることから、堤防の越水対策が重要となっており、特に越流水による作用が大きい川裏側(堤内地側)の法肩部、法面部、法尻部の対策技術の開発が急務となっています。

本取組の位置づけ(「パッケージ技術」の考え方)および開発技術概要

国土交通省は、越水に対する「粘り強い河川堤防に関する技術」に関する技術公募を2025年4月に実施しており、部位ごとの対策である「構成部材(パーツ)」と、それらを組み合わせた構造全体を「パッケージ」とする考え方が示されています※1
本共同研究では、越水時(越流水深:30cm、越流時間:3時間に対して堤防としての性能を維持することを条件とする)に特に越流水の作用が大きい法面部と法尻部を対象とした研究に着手し、パーツごとの対策を組み合わせた法面保護技術を検討しています。パッケージとした場合の構成は以下のとおりです。

  1. 1法面部対策:越水時の侵食進展を抑えるための表層保護・補強に関する技術
  2. 2法尻部対策:法尻部で生じ得る洗掘等による被災進展を抑えるための技術

実験の実施状況(これまでの取り組み)

本取組では、上記の技術について、越水を模擬した模型実験等により基礎的な検証を実施しています。

  1. 1法面部対策:固化材を混入した堤体覆土材の耐侵食拡大性能の検証
    法面部を対象に固化材を混入した堤体覆土材を用いて、越水を模擬した模型実験を実施し、侵食の進み方や表層変状の現れ方を確認しています。条件の違いによる挙動の差が見られることから、実物大実験で施工条件も含めて確認すべきポイントを整理しています。
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図-2 実験模型図
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図-3越水実験模型
  1. 2法尻部対策:砕石ドレーンによる耐洗掘性能の検証
    法尻部を対象に、越流水による被災拡大を抑制する技術の研究を実施しております。対策コンセプトの成立性や条件差による挙動を確認しています。越水時に想定される作用に対し、被災進展を抑制する観点から、法尻に設置した砕石ドレーンの減勢効果(ライニング効果)について整理しています。
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図-4 実験模型図
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図-5砕石ドレーンによるライニング効果概念図(川裏法面の侵食が抑えられた場合)

今後の展望

2025年度までに得た実験結果を踏まえ、2026年度より実環境に近い条件での適用性等の確認を目的とした実物大実験に着手いたします。将来的には、越流水への対策効果を十分に確認した上で、「粘り強い河川堤防」の技術として展開し、激甚化・頻発化する豪雨等の被害縮小に貢献していきます。