新着情報 道路陥没の要因となる地中空洞の厚みを正確に把握する調査手法を確立 地下水で満たされた空洞にも適した新しい調査方法
2026/04/21
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、国土防災技術(株)(本社:東京都港区、社長:東 康治)と(株)カテックス(本社:愛知県名古屋市、社長:加藤 已千彦)と共同で地中空洞に注入材を充填し、空洞情報を保持した試料として採取できる新たな調査手法を確立しました(図-1)。
本手法は先行ボーリング掘削後に注入材を孔内に充填し、硬化後に再度掘削してコア試料を採取することを特徴としています。これにより、従来の孔内カメラによる観察では困難であった地中空洞の厚み(cm単位)、周辺の地盤状況(以下空洞情報とする)を実物として直接観察することが可能となり、従来の手法と比較して空洞情報の精度が大幅に向上しました。また、地下水で満たされた環境下にも適用可能であり、大規模な道路陥没の要因となる地中空洞を正確に把握し、喫緊の社会課題である道路インフラの安全確保に貢献します。

開発の背景
老朽化した下水道管の腐食や破損に起因する地中空洞化は、重大な社会課題となっています。 特に2025年1月に八潮市で発生した道路陥没事故を契機に空洞調査の実施強化が推進されており、事故を未然に防ぐためのより「正確な空洞把握の手法」が強く求められています。
これまで地中空洞の直接的な調査には、ボーリング掘削後に孔内カメラを挿入して撮影する手法が主に用いられてきました。
しかし、従来の手法には以下の課題がありました。
・映像からの推定に依存するため、地中空洞情報を正確に把握することが困難である。
・孔内に水があり濁っている場合、映像が不明瞭となり正確な情報が得られない。
当社はこれらの課題を解決するため、映像に頼るのではなく、濁水環境下でも地中空洞に注入材を満たして直接コア試料として採取することで、空洞情報を正確に可視化できる新たな調査手法を開発しました。
本手法の手順
本手法による空洞情報のコア試料採取は、深度1mごとに下記の手順を繰り返します。なお、注入材が孔の情報へ噴き出すのを防ぐため、水パッカーを使用します。
- 1削孔(小径):深度1mまで、外径φ46mmで削孔します。
- 2 注入・硬化:孔口から注入棒を挿入し、注入材を無圧で孔内に充填・硬化させ、注入棒は残置します。
- 3再削孔(大径):外径φ86mmで再度削孔します(ここでコア試料を採取)。
- 4孔壁の保持:削孔した孔壁が自立しない場合は孔壁を保持するためのケーシングを挿入します。
検証結果
事前に実施した各種調査の結果を基に、深度10.00m~12.00mの区間に地中空洞の存在が想定された箇所において、本手法の検証実験を行いました。その結果、以下の2点が確認されました。
- 1空洞部分への的確な充填:地中空洞が想定される区間のうち、深度10.25m~10.50mにおいて、注入材が隙間なく充填されていることを確認しました(図-2)。
- 2地盤を乱さない高精度な試料採取:本手法は圧力をかけずに注入を行うため、周辺の地盤を乱すことなく、砂礫の形状を保持した状態のコア試料を高い精度で採取できることが実証されました。

今後の展望
今後は、本手法で正確に把握した地中空洞に対し、ピンポイントかつ効率的にアプローチする新たな注入方法の確立を目指します。
将来的には、地中空洞の「調査」から「対策」までを一貫して対応できる体制を構築します。これにより、重大な道路陥没事故の未然防止といった喫緊の社会課題の解決や老朽化インフラの適切な維持管理に貢献してまいります。
