新着情報 トンネル覆工巻立空間計測システム「マキタテミエルカ™」を開発 ミリ波レーダーを用いて計測作業の省力化と任意箇所での出来形把握を実現
2026/07/06
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、IDEC ALPS Technologies(株)(本社:大阪府大阪市、社長:錦 朋範)、(株)エムケーエンジニアリング(本社:大阪府大阪市、社長:源石 佳弘)の協力のもと、山岳トンネルにおける覆工コンクリート施工管理の省力化と高度化を目的に、ミリ波レーダーによるトンネル覆工巻立空間計測システム「マキタテミエルカ™」を開発しました。
本システムは、従来、検尺ロッドを用いて人手で行っていた巻立空間(移動式型枠であるセントルと吹付けコンクリートとの間隔)の計測を自動化し、表示・記録するシステムです。セントルのFRP製スキンプレートや防水シートを透過できるミリ波レーダーにより計測することで実現しました(図-1)。本技術の有効性を検証するため、新名神高速道路宇治田原トンネル東工事(発注者:西日本高速道路(株))にて試行した結果、防水シート越しに吹付け面までの距離を正確に計測できることを実証しました。

開発の背景
従来の方法では、狭いセントル内で昇降・移動して計測を行う職員の負担が大きいことに加え、検査窓が設けられた箇所でしか計測できず、空間全体を網羅的に把握することが難しいという課題がありました。
こうした課題を解決するため、計測作業の省力化と、任意箇所での出来形(施工後の形状・寸法)把握を可能とするシステムの開発を進めてまいりました。
本システムの概要
一般的な非接触センサー(レーザー距離計など)では、手前にたるみを持って張り付けられた防水シートを検知してしまい、その背面にある吹付けコンクリートまでの距離計測が困難でした。
本システムでは、降雨時や粉塵環境下でも用いられる透過性の強いミリ波レーダーを活用することで、防水シートや不織布を透過して、その背面の吹付けコンクリートまでの距離の計測が可能となりました。セントルにミリ波が透過するFRP製スキンプレートを使用している場合は、スキンプレートを加工せずに計測できます。従来は端部と中間部の検査窓がある断面で、それぞれ7~11箇所を手作業で計測していましたが、本システムでは検査窓のない任意の箇所にミリ波レーダーを設置して、巻立空間を計測できます。計測結果はタブレットなどの表示器で確認できるとともに、データとして記録することが可能です。
実証実験
新名神高速道路宇治田原トンネル東工事にて、セントル仮置き時およびコンクリート打設前のセントル設置時を対象に、本システムの計測から表示・記録までの一連の動作について検証を行いました。ミリ波レーダーによる計測結果と従来の検尺ロッドによる計測結果を比較した結果、図-2、3に示すように、両者は概ね一致しており、防水シートを透過して吹付けコンクリートまでの距離を正確に測定できることを確認しました。併せて、本システムの現場実装に向けて、鉄筋の配置状況や湧水といった、現場特有の環境要因が計測に与える影響についてもデータを収集することができました。




今後の展望
今後は、今回の実証で得られた知見を活かし、ミリ波レーダー設置位置を微調整して鉄筋の影響を避ける治具を採用するなど、システムのさらなる汎用性向上を図ります。さらに、一般的なスチール製スキンプレートのセントルにおいても、測定箇所をFRPなどに置き換えることで本システムの適用を拡大していく予定です。
本システムは、覆工の計測管理の省人化にとどまらず、覆工全体の網羅的な出来形管理や記録、コンクリート打設量の管理、さらにはセントル移動・セット時の衝突防止監視など、多様な施工管理の高度化に寄与できるものと期待されます。当社は引き続き技術の高度化を通じて、山岳トンネル施工におけるさらなる安全性や生産性の向上に取り組んでまいります。
