山岳トンネル技術 4D-Super NATM

概要

NATMトンネルの品質確保において、計測管理は重要な役割を果たします。しかしながら既存の方法は断続的な限られたデータであり、初期変位の把握も十分ではありません。
そこで、掘削初期の段階で高性能トータルステーションを用いた断面計測によって得られた切羽近傍の3次元点群データと、3次元数値解析テーブルから自動的に任意時間の変位を3次元的に予測する4D-Super NATMを開発しました。

メリット

  • 任意の時間の変位を3次元的な任意の位置で予測できるため、長期的に安定したトンネル構築に寄与します。
  • 掘削初期段階の変位分布を把握して変位を予測するため、精度の高い予測が可能になります。
  • 変位をビジュアルに表示することにより、変位の大きな位置の分布や変位の予測を行うことができます。

特徴

NATMによる計測管理システムの概念図を図-1に示します。これは次の要素で構成されています。

  1. 1高性能トータルステーションによる3次元断面計測(図-2)
  2. 23次元数値解析テーブル
  3. 3変位予測、可視化ソフト(図-3)

これらを活用することにより、当システムは下記の特徴を有しています。

  • 「3D断面計測」によってトンネルを連続した3次元データとして扱うことができます。これによりトンネル全体の挙動を連続した情報として管理でき、支保パターンの妥当性や補強工の規模と範囲を、より合理的に決定できます。
  • 掘削直後の断面形状、初期段階の変位分布を確実に把握できます。これにより、トンネルの挙動を正確に把握することができます。
  • あらかじめ3次元有限要素解析により求めた「3次元数値解析テーブル」と初期段階の計測データから自動的に着目点の変位曲線を特定することができます。これにより変位の収束値を迅速に予測することができ、遅延のない施工へのフィードバックが可能となります。
  • 専用ソフトにより、上記の一連のデータ処理を行い、現時点はもとより収束時を含めた任意時点の変形モードを3次元表示できます(図-2)。これにより数値解析などでは困難であった地山挙動の異方性を容易に把握でき、より現実に即した掘削管理が可能となります。
図-1 4D-Super NATMの計測管理システムの概念図
図-2 3Dレーザスキャナによる断面計測模式図
a) 壁面変位図
b) 壁面変位の3次元表示

図-3 4D-Super NATMによる変位予測の出力図

関連する実績
  • NEXCO東日本:天神堂トンネル
  • 国土交通省関東地方整備局:上八木トンネル
  • 厚木森の里区画整理組合:森の里トンネル
  • 鉄道・運輸機構:諫早トンネル
論文