シールド・推進技術 AI Transform ShieldⓇ
概要
AI Transform Shield®は、土質の違いにより異なる過去の掘進データから最適なシールドの掘進管理値を導き出し、自動測量をもとにシールド機の姿勢を制御し掘進していくシステムです。
メリット
- AIを用いることで「その時」だけでなく過去の豊富な施工事例を含めたデータの中からAIが最適な指示を行うことを可能とします。
- 施工中,施工後のシールド現場データを集積し,一元管理により膨大な教師データを構築します。
- 自動測量システムにより掘進中も連続して測量することができ、シールド機の掘進精度が向上します。
- 自動テールクリアランス計測システムにより、掘進中のテールクリアランス変化が把握できシールド機テール部のセリ、セグメントの破損を防止できます。
- シールドジャッキ自動油圧制御システムにより、全ジャッキ推進となり、セグメントに優しい掘進が行えます。
特徴
AI Transform Shield®では、AIを用いることで「現在掘進中の土質データや測量データ」だけでなく過去の豊富な施工事例を含めたデータの中からAIが自ら最適な結果の選択を行います。
特徴を以下に記述します。
- 1測量データ、機械データ等を掘削対象土とリンクさせて教師データとして蓄積していきます。
- 2掘進とデータ収集を続け、掘削対象断面が過去の事例とほぼ同じ断面であるとAIシールドが判断したときに過去のデータを検索・抽出し、シールドが順調に掘進していたときの切羽圧、カッタトルクおよびそれらに対応するジャッキ速度等のデータを抽出します。
- 3坑内自動測量データ、掘削対象土質データおよび②のデータをもとにAIが判断し、基線からの離れを少なくするジャッキパターンを常に提示し、品質を向上させます。
- 4施工中、施工後の全国の複数のシールド現場データを一元管理することにより膨大な教師データ集積とすることで更にAIを進化させ、より精度の高い掘進管理を行うことが可能とします。
自動測量システム
通常の自動測量では,坑内のセグメントにトータルステーション(TS)を設置し,後方の基準点と前方シールド機に設けた2点の測点を自動で測量することで,シールド機の位置を把握させますが、この自動測量では曲線掘進時にシールド機内の測点がセグメントや後方台車設備に干渉され,視準できなくなってしまい,TSを頻繁に移設しなければならない。
このシステムでは、シールド機本体で掘進中でも固定点であるシールドジャッキのスプレッターにTSを設置することによりTSの移設なしで、連続して測量できます。
MWMS(マームシステム)[自動測量システム(2)]
このシステムでは、専用のマーカーをシールド機の一部(主にリングガーダー部)とシールドジャッキ先端部にそれぞれ貼付し、それらを基準点としてステレオカメラにより測量を行います。掘進時はシールドジャッキのマーカーを基準点、停止時や組立時はシールド機のマーカーを基準点に切り替えていくことで、基準点や測量機器の移設作業を行う必要がなく、さらに自動かつ連続して測量することができます。
テールクリアランス自動計測システム
シールド工事では,とくに急曲線施工においてシールドテール部でのセグメントのせりを防ぐため適正なテールクリアランスを確保することが重要となる。テールクリアランス計測は,人の手によって行われることが一般的で,セグメントごとに測定する必要があり手間を要する。 このシステムは,カメラとレーザー光を利用した非接触型の計測装置で、自動で掘進中も連続したテールクリアランス計測が行えます。
Best Fit Jack[自動姿勢制御システム]
シールド工事では、マシンデータ、測量データから熟練のマシンオペレーターが技術と経験によりジャッキ選択を行い、シールド機の姿勢を制御しつつ掘進を行っています。しかし、年々熟練のオペレーターが少なくなっており、技術伝承が滞っている状態です。
このシステムは、掘削土質に属する機械データ、シールド機姿勢変動等のデータを蓄積し教師データにすることで、自動測量(またはシールド機に搭載されたジャイロコンパス)をもとにAIが基準線からの偏差量を抑えるよう効率的な各ジャッキの合力点を算出し掘進を行うことができます。
- 西宮市公共下水道新設(合流貯留管その4)工事
- 京都市新山科浄水場 導水トンネル築造工事
- 大阪ガス尼崎久御山シールドB-2工区