シールド・推進技術 ボックスシールド工法

概要

ボックスシールド工法は、矩形シールドにより地下トンネルを構築する工法です。本工法は道路トンネルや共同溝のように施設断面が矩形である場合、従来の円形シールドに比べ、掘削断面に無駄がなく不用なスペースをつくらない面で優れています。またボックスシールド機を組み合わせて施工(MMB工法)することにより大断面トンネルの施工も可能です。ボックスシールド工法には、泥水式、土圧式の両タイプがあります。

泥水式ボックスシールド
土圧式ボックスシールド

メリット

  • 円形断面と異なり不要スペースを掘削しないので、既設地下構造物の輻輳する都市部においても合理的な断面の構造物を築造できます。
  • トンネル幅員を最小限にできるため、地上部の占有用地幅を低減できます。
  • 合理的なトンネル断面にできるので残土処分量が低減でき経済的です。
  • 隅角部からの同時裏込注入により地盤変状を抑制できます。
  • 土質に応じて泥水式、土圧式の選択ができるため幅広い土質に対応できます。
  • 当社のMMB工法への適用により小土被りの大断面トンネルを効率よく施工できます。
円形シールドとの断面比較
MMB工法への適用例

特徴

泥水式ボックスシールド

内部構造

多数の大深度地中壁で検証済みのエレクトロミルを基本構造とし、故障が少なく信頼性の高い内部構造です。

泥水式ボックスシールド構造図(側面)

切羽の安定

カッタービットが切羽面でほぼ均一な切削速度をもち安定した切羽保持が可能です。

曲線施工

オーバーカッター、中折れ装置のほかに偏向ジャッキやスタビライザーの装備も可能なため円滑な姿勢制御が可能となり円形シールドに匹敵する曲線施工も可能です。

ボックス型セグメントの開発

ボックスシールドの開発に伴い、ボックスシールド用の新型セグメントを開発しました。現在ではコンクリートタイプとスチールタイプの2種類のセグメントを開発し、実用化しています。

コンクリートセグメント(CR型)
スチールセグメント

土圧式ボックスシールド「プラネタリー工法」

内部構造及び機構

メインカッター(Main Cutter)

開口率を大きくするため、スポークタイプを採用しました。土砂取込み性に優れ、レキ地盤にも対応できます。
実績のあるティース・カッタービットと先行ビットを装備しています。

エレクター(Erector)

ボックスセグメントを組み立てるため、新たに開発しました。
 ①回転
 ②上下摺動
 ③前後摺動
 ④左右摺動
以上4つの機能を有しています。

遊星カッター(Planetary Cutter)

複雑なビットモーションに対応するため、全方向掘削可能なカッタービットを新たに開発し、全断面均一に掘削できるような配置を採用しています。

余掘り(Overbreak)

メインカッターに装備したコピーカッターのストローク制御により中央部を切削し、2つの遊星カッターに装備した計3基のコピーカッターによって、隅角部を切削します。
余掘位置は上下左右いずれも可能です。

遊星カッタービット動作(メインカッター回転角2.5°ごと)

各コピーカッターの切削範囲(左側掘削)

掘削機構(Mechanism of Excavation)

  1. 1メインカッターと遊星カッターはともに、駆動モーターによりカッタードラムを介して公転します。
  2. 2カッタードラム内に収納された遊星ギヤは、アイドルギヤ、固定の太陽ギヤとかみ合わさって所定回数の自転を行います。なお、アイドルギヤは自公転方向を逆にする動きをしています。
  3. 3遊星ギヤと太陽ギヤのギヤ比を1:4にすると、遊星カッターは公転1回転に対して4回自転して、正方形断面の掘削を行います。
ビット切削試験
実証機製作に先立って、遊星カッタービットの切削試験を実施し、最適な形状を決定しています。
断面の多様化
縦横比の大きい長方形断面に対しては、二連あるいは三連シールドで対応できます。(MMB工法に対しても有効です。)
ビット形状
様々なトンネル形状に対応可能
長方形断面の対応例
関連する実績
  • 首都高速道路KJ125工区(A)換気洞道工事