シールド・推進技術 凍結地盤内に注入可能な高性能裏込め注入材

概要

現在、都市部では鉄道や道路、上下水道整備を目的としたシールド工事での大深度施工が増加しています。大深度化に伴い高水圧下での施工となるため、発進・到達防護工等に凍結工法が採用される場合があります。凍結地盤内に裏込め材が注入されると低温下での注入となるため、強度不足や裏込め材中の水分の凍結膨張によるひび割れなどが起こることが懸念されます。
そこで、当社では裏込め材中に気泡を含むことで水分の凍結膨張による影響を抑制し、解凍後に必要強度を確保することができる新たな裏込め材を開発しました。

メリット

  • 裏込め材が硬化した後に地盤を凍結した場合でも、必要量の気泡を含むため水分の凍結膨張によるひび割れを防ぐことができます。
  • 凍結地盤内で裏込め材を注入した場合でも、地盤解凍後に強度発現し必要強度を確保できます。
気泡を含まない裏込め材
気泡を含む裏込め材

凍結時の裏込め注入材の表面状況

特徴

  • 裏込め材中の水分の凍結膨張によるひび割れを防ぐため、空気量を30%含む配合となっています。
  • 例えば0.6MPaの高水圧下の場合、30%の空気量(273L)を含むためにはボイルの法則に従うと大気圧下では7倍の空気量(1,911L)を含む必要があります。しかし、多量の空気を含む裏込め材を製造することは困難であるため、打設箇所の圧力と同等の加圧した空気を使用して裏込め材を製造することで高水圧下で30%の空気量を確保できる構造としました。
試験水準養生方法設定空気量(%)
1 標準養生7日 5 10 15 30 45
2 標準7日→凍結3日→標準7日 5 10 15 30 45
3 凍結3日→標準7日 5 10 15 30 45

※1)標準養生は20℃、凍結養生では-10℃の設定温度とした。

※2)凍結養生日数は、裏込め材の温度が-10℃となる日数である3日とした。

各養生条件での空気量と一軸圧縮強度との関係

高性能裏込め注入材の1m3当りの配合(設計基準強度1.0N/mm2(7日強度))

A液(910L)B液
(90L)
CB液気泡
硬化剤
(kg)
助剤
(kg)
安定剤
(kg)

(L)
起泡剤
(kg)

(L)
空気
(L)
比重
(A液)
塑性
調整剤
350 20 3.5 485 0.61 29.7 273 0.98 90L

※)裏込め材に含まれる空気量は30%

裏込め注入フロー図
論文