建設現場周辺を維持保全する技術 繊維補強吹付けコンクリート

概要

繊維補強吹付けコンクリートは、ポリプロピレン短繊維「シムロック」を既設トンネルの覆工内面に吹付けることで、内空断面に余裕のない現場においても、地山土圧などで変状の生じたトンネルの耐荷力と機能を強化・保持する工法です。

  • 繊維補強吹付けコンクリートは、西松建設株式会社との共同開発です。

メリット

補強コンクリートを薄肉化
高強度コンクリートを用いることで、補強に必要なコンクリートの薄肉化(標準巻厚125mm)を実現しました。このため、トンネルの内空断面に余裕がない場合でも、補強が可能となります。
補強工事の工期を短縮
急結剤を用いた吹付け施工を行うため型枠が不要となり、内巻き工法と比較して工期の短縮が可能です。したがって、緊急工事のような工事期間が比較的短い場合には特に有効です。

特徴

ポリプロピレン短繊維「シムロック」を新開発
新たにポリプロピレン短繊維「シムロック」を開発しました。標準的な長さは30mm、換算直径は0.7mmです。 断面形状を十字にし、さらに延長方向にエンボス加工することで、コンクリートとの付着強度を増加させることで、吹付けコンクリートの曲げじん性が高くなり、剥落防止効果が向上しました。
補強効果(耐荷力)の向上
繊維補強吹付けコンクリートの厚さを150mmで施工した実大載荷実験では、既設の覆工コンクリートの約2倍の耐荷力が得られ、優れた補強効果が実証されました。
工事コストの縮減
従来の繊維補強コンクリートと比べて材料費が低減でき、従来の吹付け補強工法と比較すると工期短縮も可能なため、工事全体として30%程度のコスト縮減が期待できます。
高い施工の自由度
吹付け範囲を任意に設定できるため、一部供用下のトンネルでの施工など、トンネル占用形態に応じた施工が可能です。
耐荷力の向上(載荷試験結果)
載荷試験概要
載荷試験状況