新着情報 環境負荷の小さい粉じん抑制技術の実証試験を実施

2022/12/20

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、産学連携で環境負荷の小さい高性能の粉じん抑制技術を開発し、2022年3月に情報開示しました※1。この度、同技術に対する実証試験を当社の施工現場で行い、その有効性を確認しました。

※1 戸田建設NEWSリリース(2022/03/22)
土木工事現場における粉じん飛散を抑制-産学連携で環境負荷の小さい新たな粉じん抑制技術の有効性を確認-
https://www.toda.co.jp/news/2022/20220322_003027.html

開発の背景

宅地造成等の作業現場においては、強風や工事車両の走行によって粉じんが発生することがあります。発生した粉じんは、それを吸い込むことによる健康被害や、周辺地域への飛散が第三者とのトラブルの原因となる場合があります。
現状では、水の散布や鉄板の敷設等で粉じんの舞い上がりを防止したり、防じんネットを設置して粉じんの周囲への飛散を防ぐなどの、多様な粉じん対策が取られています。しかし、これらの粉じん対策は一時的な効果を得られるものの、根本的な解決には至らないという課題がありました。
当社では、上記課題を解決する取り組みとして、高分子化合物を利用した新たな粉じん抑制技術を開発し、その有効性を検証してきました。

本技術の特徴

本技術は、正電荷と負電荷の極性の異なる高分子化合物の複合体(polyion complex:PIC)を利用したものです。PICを適切な濃度に希釈して地面に散布することで、高分子化合物の分子鎖が地中の土粒子と絡まりあって固定化し、風等による粉じんの発生を抑制します。
以下に、本技術の特徴を示します。

  1. 1耐風性能:未対策と比較して粉じん飛散量を95%以上低減(風速15m/sの場合)
  2. 2耐雨性能:未対策と比較して土砂流出量を1/5以下に低減(降雨量80mm/hの場合)
  3. 3環境対応:国際的に認められた化学物質の基礎試験であるOECDテストガイドラインの魚類急性毒性試験の基準をクリア

実証試験結果

技術を当社の造成工事現場に試験適用した結果、散布から90日が経過した時点でも、粉じんの抑制効果が持続していることを確認しました。

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写真1 タンク内での攪拌状況
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写真2 現場への散布状況
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図1 未対策と本技術適用時の粉じん濃度の比較

※2 基準値0.6mg/m3 → 視程が2km以下となり、地域住民に不快、健康被害を訴える者が増加する濃度
出展:道路環境影響評価の技術手法(平成24年度版)国土交通省国土技術総合研究所

今後の展望

当社は、本技術の現場試験適用を重ねて、実用化・製品化を目指します。