新着情報 カーボンネガティブコンクリートの共同開発に着手 2024年度までの実用化を目指
2023/12/05
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)と西松建設(株)(本社:東京都港区、社長:髙瀨 伸利)は、CO2排出量の少ない環境配慮型コンクリートの共同開発を2010年から継続しています。現在、CO2を吸収・固定化した炭酸カルシウム※1をコンクリートの材料に使用し、材料起源のCO2排出量※2が計算上ゼロ以下となるカーボンネガティブコンクリートの開発に取り組んでおり、実証試験によりプレキャスト製品の製造が可能であることを確認できました。
開発の背景
建設業界では、主要材料としてコンクリートが広く使用されており、日本国内におけるコンクリートの年間総出荷量はおおよそ7,500万m3(2022年度)※3に上ります。コンクリートの製造には1m3あたり約270㎏のCO2が排出されるといわれるため、年間のCO2排出量は約2,000万トンと試算でき、膨大な量となります。このため、カーボンニュートラルを実現するには、コンクリートの製造に伴うCO2排出量の削減が喫緊の課題です。
当社と西松建設は、これまでにコンクリートの材料起源のCO2排出量を最大85%削減できる「スラグリート®」※4を共同で開発し、擁壁工事※5や建築の耐圧スラブ※6などへの現場適用を行ってきました。さらなるCO2排出量の削減を目指し、「スラグリート®」の開発・実用化で得た技術を発展させ、カーボンネガティブを実現するコンクリートの共同開発に着手しています。
本技術の概要
「スラグリート®」は、コンクリートの配合に含まれるセメント量の最大90%を産業副産物である高炉スラグ微粉末に置き換えた低炭素型のコンクリートです。現在開発中のカーボンネガティブコンクリートは、「スラグリート®」をベースにCO2を吸収・固定化した炭酸カルシウム※1を添加し、その添加量次第で材料起源のCO2排出量を大幅に削減でき、計算上ゼロ以下を実現するものです。
実証試験
当社と西松建設は、本技術の実証試験としてプレキャスト製品を製造し、以下の点を確認しました。
- 一般的なコンクリートと同様に製造が可能である
- 圧縮強度は一般的なコンクリートと同様に発現し、同程度の強度が得られる
- 仕上がりは白色系で、色むらも少ない
- 表層品質は、一般的なコンクリートと同様である
今後の展開
当社と西松建設は、2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、本技術を土木・建築分野に幅広く適用することを目指し開発を進めてまいります。
- ※1 CO2を吸収・固定化した炭酸カルシウム:本検討では石灰石を原料に化学的に製造された炭酸カルシウムを使用。
- ※2 材料起源のCO2排出量:コンクリートの製造に使用する材料のCO2排出原単位を用いて算出したCO2排出量であり、CCU材料(Carbon Capture and Utilizationの略)の添加量次第で、CO2の吸収・固定量が多くなり、CO2排出量が計算上でゼロ以下となる。
- ※3 全国生コンクリート工業組合連合会・全国生コンクリート協同組合連合会:全国出荷数量の推移、2023年3月31日、
https://www.zennama.or.jp/3-toukei/gaiyou/index.html(2023.9.05 確認)
- ※4 当社リリース「低炭素型のコンクリート「スラグリート」を開発」
https://www.toda.co.jp/assets/pdf/20160208.pdf[PDF:718KB] - ※5 当社リリース「コンクリート製造時の CO2排出量を約 70%削減」
https://www.toda.co.jp/assets/pdf/20161129.pdf[PDF:110KB] - ※6 当社リリース「環境配慮型のコンクリート「スラグリート」を(仮称)TODA BUILDINGへ適用」
https://www.toda.co.jp/news/2022/20221005_003121.html(2023.9.05 確認)