新着情報 生成AI搭載のRevitプラグイン「Revit-AI-Assistant」を完全内製で開発 自然言語によるBIM操作を実現、専門知識を問わず誰もが直感的にデータを活用可能に

2026/04/22

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、BIMソフト「Autodesk Revit」(以下、Revit)上で動作する、生成AIを搭載したプラグイン「Revit-AI-Assistant」を、社員による完全内製で開発し、運用を開始しました。

本プラグインは、チャット形式の自然言語入力により、Revit上の要素情報の取得や色分けなどの操作に加え、床・壁・家具等の要素の作成、社内ドキュメントの検索が可能です。BIMの習熟度を問わず、誰もが直感的にBIMデータを活用できる環境を提供します。

本開発は、戸田建設AI基本方針に準拠したものであり、同方針に基づくAI活用の取組みの一環です。

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図1:Revit-AI-Assistant操作画面

背景

建設業界においてBIMの普及が進む一方、プロジェクトで扱うモデル情報は膨大となり、全てを人の手で確認することが困難になっています。特に、作成したモデルが社内のルールに準拠しているかを確認する作業には多大な労力を要していました。

これらの課題を解決するため、当社は生成AIを活用したRevitプラグイン「Revit-AI-Assistant」を開発しました。生成AIがBIMモデル内の大量の情報を迅速に処理し、自然言語による対話形式で、ユーザーの意図に沿った結果を分かりやすく提示します。AIが代替可能な業務を担うことで、人間は問題解決や顧客との対話といった、人間にしかできない業務に集中できる環境を実現します。

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図2:「Revit-AI-Assistant」の運用・開発の背景

概要

(1)AIエージェント※1による自律的なツール実行

本プラグインは、ユーザーの質問に対して自律的に最適なツールを選択・実行し、回答を生成するAIエージェントです。AIエージェントは、目標を達成するまで推論→行動のサイクルを繰り返すことで、複雑な指示を遂行します。

  • ※1本リリースにおいて、「AI」は自然言語の理解や推論を行う知能の技術基盤を指します。一方、「AIエージェント」はその知能を使い、与えられた目標を達成するために、自ら計画を立てて必要なツールの実行を自律的に繰り返す仕組みを指します。
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図3:AIエージェントの処理の流れ

例えば、梁要素を「始端_上端筋径」パラメータが空欄の場合は赤色、パラメータ自体が無い場合は青色にするように質問した場合、AIエージェントはユーザーの意図を汲み取って以下の処理を実行します。ユーザーは細かな手順を意識せず、目的を自然言語で伝えるだけで、必要な情報取得やRevitの操作が可能になります。

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図4: AIエージェントの処理の詳細
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図5:実行結果
(2)社内ドキュメント検索

本プラグインには、社内のBIM関連ドキュメントを参照して情報取得するツールを実装しています。キーワードの一致だけでなく、言葉の意味や文脈を踏まえて関連情報を調べる「セマンティック検索」により、関連性の高い情報を取得することができます。AIの回答には該当ドキュメントへのリンクが表示され、Webブラウザで即座に社内のルールを確認することができます。

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図6:マニュアルの検索結果
(3)Revitについての回答

Revitの仕様や操作方法について、AIに対話形式で確認することが可能です。例えば、平面図の「ビュー範囲」について質問した場合、AIは保持している内部知識に基づき仕様を解説するだけでなく、ビュー情報を取得するツールを実行して現在のビューの設定値を取得し回答します。このように、Revitに不慣れなユーザーでも仕様理解や設定確認が容易になるため、今後のBIM普及を後押しする有効な手段になると期待されます。

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図7:Revitのビュー範囲についての回答結果

特徴

生成AIに質問のたびにプログラムを生成させてRevit上で実行する方式では、コード実行時のエラーや回答の揺らぎ(再現性)が課題となり得ます。本プラグインでは、事前に定義した処理をツールとして用意し、AIエージェントが状況に応じて適切なツールを選択して実行する方式を採用しました。これにより、回答精度と再現性の向上を図っています。

一方で、AIエージェントが「定義済みのツールだけでは対応できない」と判断した場合には、必要に応じてRevitの情報取得や操作を行うプログラムを生成し、Revit上で実行することも可能です。ツール化によって安定した処理を担保しつつ、個別要件への対応力も確保することで、処理可能な質問の幅を狭めない設計としています。

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図8: AIの再現性と対応力の両立

期待する効果

(1)BIMデータの一般化を促進

高度なRevitの操作スキルや専門知識を持たない社員でも、チャットを通じて直感的にBIMデータの閲覧・抽出が可能になります。これにより、BIMオペレーターなどの特定の専門職に限らず、設計者や施工管理者などもBIMの恩恵を受けられる環境を実現します。

(2)データチェックの高速化

BIMモデルの他部署への引き継ぎや、鉄骨製作・施工検討・積算といった他ソフトへのデータ移行時に不可欠な、各要素の属性情報(パラメータ)が漏れなく入力されているかの確認作業を高速化します。膨大なモデルデータの中から入力不備をAIが抽出することで、確認精度の向上と手戻りの削減を実現し、後工程へのスムーズな情報伝達を支援します。

(3)社内ルールの確認時間を短縮

膨大な社内ドキュメントから目的の情報を探し出す時間を短縮します。従来は、数ある文書から手作業で検索し、該当箇所を見つけるまでに約5分要していましたが、本プラグインはAIが約30秒で回答とソースを提示します。この機能により、社内ルールの遵守を支援し、品質管理の徹底を図ります。

なお、AIが提示した情報や処理した結果については、最終的に人間が確認・判断を行うことで、業務の正確性と安全性を担保しています。

今後の展望

今後は、AIエージェントの精度・回答速度の向上を図ります。また、内製開発の強みを活かし、現場の要望に柔軟かつ迅速に対応するとともに、利用者からのフィードバックに基づく機能改善や新規ツールの開発を進めます。

本プラグインは完全内製で開発・運用されており、入力されたデータや社内ドキュメントが外部のAI学習モデルに利用されることのない、セキュアな環境を実現しています。