山岳トンネル技術 DRiスコープ
概要
トンネル切羽前方の調査では、工程に与える影響を最小限としながら、切羽前方の地質情報を精度よく把握することが重要です。岩種、風化度や割れ目等の地山情報を直接観察することは、調査精度を高める上で効果的であり、トンネル工程への影響を最小限としながら、切羽前方の地質を直接観察する方法として、工業用内視鏡を利用した切羽前方可視化技術「DRiスコープ」を開発しました。
DRiスコープは、山岳トンネル工事で使用される油圧ジャンボで20~30m程度削孔し、ロッドの送水孔に工業用内視鏡を挿入してビットの前方の地山を観察します。ロッドがケーシングの代わりをするので、崩壊性地山でも切羽前方の地山を可視化した情報が得られます。
なお、本技術は、オリンパス(株)と共同で特許取得済み(特開2016-130811)です。
メリット
- 切羽で工業用内視鏡により直接、孔底、孔壁の画像を観察、確認できます。
- 削孔に使用した連結したロッドの送水孔をケーシングの代替えとすることにより、崩壊性地山でも切羽前方の地山を観察できます。
- 鮮明な孔内画像が得られるので、湧水のある割れ目や粘土など挟在物を有する割れ目を内視鏡により観察できます。
特徴
DRiスコープは削孔検層と併用するのが効果的です。削孔検層で継ぎノミする時にドリフターとロッドが切り離されますので、その際に工業用内視鏡をロッドの送水孔に挿入しビットの先端から突出させ孔底、孔壁画像を取得します。ロッドを引抜きながら観察することで、延長方向に連続的な動画が得られ、地山状態を可視化できます。
- 割れ目の開口状況、挟在物の状況などが観察できます。ステレオ撮影用レンズを使用することにより、割れ目の開口幅の測定が可能です。
- 切羽での円滑な観察を行うため、専用ビットを用意しています。専用ビットは送水孔の一つを中心近くに配置し、削孔性能を損なうことなく工業用内視鏡の挿入を迅速に行えます。
関連する実績
- 長野県祖山トンネル他
論文
- 工業用内視鏡を利用した新たな切羽前方地山調査手法の開発、第44回岩盤力学に関するシンポジウム(2016年)
- 工業用内視鏡による切羽前方地山調査法の開発、地盤工学会誌、5月号(2017年)
- 工業用内視鏡を利用した切羽前方地山調査手法(DRiスコープ)の開発
技術の特徴と適用実績について(2017年度)(PDF:1.19MB) - 工業用内視鏡による切羽前方地山調査法(DRiスコープ)の適用例、第46回岩盤力学に関するシンポジウム(2019年)
受賞・技術登録
平成29年度岩の力学連合会「フロンティア賞」をオリンパス(株)と共同で受賞