新着情報 爆薬装填ロボット「To-RIGGER™(トリガー)」を開発 コンピュータジャンボとAIロボットアームとの連携で高精度化を実現
2025/09/17
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、(株)UP設計コンサルタント(本社:大阪府大阪市、代表:道上 敦之)、(株)HCI(本社:大阪府泉大津市、社長:奥山 浩司)、虎乃門建設機械(株)(本社:東京都渋谷区、代表:櫻井 弘毅)の協力のもと、山岳トンネル発破作業の安全性向上のため、切羽(トンネル掘削の最先端部)作業の無人化に寄与する爆薬装填ロボット「To-RIGGER(トリガー):TODA Robotic Insertion & Georeferenced Ground-hole Explosive‑charging Robot」を開発しました(図-1)。
本技術の有効性を検証するため、模擬岩盤を用いた検証実験を実施し、実施工を想定した3種類の角度の装薬孔に対して、爆薬装填ホースを高精度に自動挿入できることを実証しました。

開発の背景
爆薬の装填は、作業員が直接切羽に立ち入り手作業で行うため、岩塊の落下などの危険性が高く、遠隔化や自動化が強く求められています。装填作業の自動化には、装薬孔に対して位置・角度を正確に合わせたうえで、爆薬装填ホースを高精度に挿入することが不可欠であり、装薬孔の位置把握や挿入時の精度の確保が課題でした。
本技術の概要
本技術は、コンピュータジャンボと当社開発の爆薬装填ホース自動挿入装置※1で構成されます(図-1)。削孔時に得た装薬孔の孔口と孔尻の座標データに基づき、コンピュータジャンボの制御によりブーム(機体の腕部)が自動で移動し、先端の受け架台を、装薬孔の軸方向に対して平行となるよう角度を調整しつつ、孔口の位置に合わせます。そして、受け架台の先端に搭載した爆薬装填ホース自動挿入装置が、AIロボットアームを用いて装薬孔の位置を正確に検知し、ホースを高精度に自動挿入し、爆薬を装填します。これにより、爆薬装填作業の遠隔化や将来的な自動化が可能となり、作業員の切羽への立ち入り作業がなくなるため、安全性が大幅に向上します。
- ※1当社ニュースリリース:爆薬装填ホース自動挿入装置を開発
https://www.toda.co.jp/news/2025/20250724_006098.html
検証実験
切羽を想定した模擬岩盤に開けた以下の3種類の装薬孔を対象に、ブームの自動移動から爆薬装填ホースの自動挿入に至る本技術の一連の動作について、検証実験を実施しました。
- 1岩盤面に対して90°(通常孔)
- 2岩盤面に対して60°(芯抜きを想定)
- 3斜め上向き(外周孔を想定)
その結果、いずれの装薬孔においても、ホースを高精度に自動挿入できることを確認しました(写真-1)。実験は虎乃門建設機械(株)千葉工場にて実施し、公開実験には、発注機関や研究機関などから約30名の視察がありました(写真-2)。



写真-1 検証実験の様子(左:①の装薬孔/中:②の装薬孔/右:③の装薬孔)



写真-2 公開実験の様子
今後の展望
今後は、本技術に加え、現場製造バルクエマルジョン爆薬※2や、起爆用配線の結線作業が不要となる無線発破システム※3と連携し、発破作業の完全自動化を目指してまいります。当社は、発破作業を含む山岳トンネル施工の一連の作業を遠隔化・自動化する「ToP-NATM®」※4の開発を進めており、引き続きその高度化を通じて、山岳トンネル施工の一層の安全性や生産性の向上に取り組んでまいります。
- ※2当社ニュースリリース:国内トンネル初となる現場製造バルクエマルジョン爆薬による発破を実現
https://www.toda.co.jp/news/2024/20240412_003349.html - ※3当社ニュースリリース:トンネル全体の電波暗室化に成功し、無線発破システムを確立
https://www.toda.co.jp/news/2025/20250627_006081.html - ※4当社ホームページ:山岳トンネル技術 ToP-NATM
https://www.toda.co.jp/tech/mountain_tunnel/topnatm2.html