建設現場周辺を維持保全する技術 凍結杭頭処理工法

概要

余盛り撤去状況

凍結杭頭処理工法は、水が凍結するときに生じる膨張圧を利用して、杭頭部に水平方向に制御されたひび割れを発生させ、余盛りコンクリートを揚重機で容易に撤去するものです。

低騒音、低振動、無粉塵かつ従来よりも短工期で杭頭処理をすることが可能です。

メリット

余盛り撤去を行う他の工法、ハンドブレーカー工法、静的破砕工法と比べて以下のメリットがあります。

  1. 1低騒音・低振動・無粉塵で施工できる。
  2. 2ひび割れ発生位置を制御できる。
  3. 3施工効率が良い。
  4. 4余盛り撤去後の修正斫りが少ないので、杭鉄筋を傷付けるリスクが少ない。
ハンドブレーカー(セリ矢)工法静的破砕工法本工法
騒音・振動
粉塵の抑制
×
ひび割れ発生状況 カッターを入れても、他の場所にひび割れが発生する場合がある。 ひび割れは発生するが、位置の特定が難しい。 冷凍管の位置にひび割れが発生する。
施工効率 1本/班・日 5本/班・日 6本/班・日
圧力 - 60Mpa程度 200Mpa程度

特徴

  • 水が凍結して氷になると、体積は約9%膨張します。本工法はこの原理を利用したもので、予め冷凍管を場所打ち杭の鉄筋かご内に水平に設置しておき、液体窒素を使ってこの冷凍管内の水を凍結させることで、冷凍管を膨張させ、余盛りコンクリートに水平方向のひび割れを生じさせるものです。
  • 冷凍管に扁平形状の鋼管を用いると、鋼管内部で発生した膨張圧は、鋼管を円形に戻そうとする力として作用するため、ひび割れ方向を制御することが可能です。
  • 扁平にした冷凍管の側面に鋼板を設置し、ひび割れ発生予定位置のコンクリート断面を欠損させることで、ひび割れの発生位置と方向をより正確に制御することができます。
  • 鉄筋かご組立時に冷凍管を設置し、根切り完了後に冷凍管を液体窒素で冷却すると、冷却開始後10分程度でひび割れが発生します。その後、クレーンで余盛りコンクリートを撤去します。
凍結圧力による水平ひび割れのしくみ
冷凍管取り付け状況
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液体窒素を用いた凍結状況
余盛りコンクリート撤去状況
余盛りコンクリート撤去完了

実績

  • 13現場 杭408本(2019年10月現在)
  • 現場造成杭であれば、工法や建物用途にかかわらず採用可能です。
関連する実績

累計13件

論文
特許・認定・認証

特許第6475553