新着情報 掘削断面精度と岩サイズの予測に基づく「山岳トンネルAI発破設計システム」を開発 最適な装薬量を導出し、安全性・経済性・生産性を飛躍的に向上
2026/07/07
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、掘削断面精度と岩サイズの総合的な予測に基づいて装薬量の導出を可能とする「山岳トンネルAI発破設計システム」を開発しました。これにより、熟練技術者のノウハウ(暗黙知)の形式知化を推進するとともに、安全性・経済性・生産性の飛躍的な向上を実現します。
本システムは、コンピュータージャンボの削孔エネルギー等のデータを入力することで、過去の実績を学習したAIにより発破後の切羽(トンネル掘削の最先端部)の周面と垂直面の精度を予測して、最適な装薬量を導出します。さらに発破後の岩サイズを予測し、導出された装薬量とあわせて、岩サイズが30cm以下となる割合の推定値をタブレットに表示します(図-1)。
実際のトンネル現場での試験運用を行い、その実用性と機能の有効性を確認しました。

開発の背景
現在、山岳トンネル工事では、安全性や経済性、生産性の向上のため、施工の自動化が進められています。発破作業においては、コンピュータージャンボの導入により自動削孔が可能となった一方で、爆薬の装薬量の設定は依然として熟練技術者の経験的判断(暗黙知)に委ねられています。
当社はこれまでに、暗黙知に依存しない発破設計の実現に向け、AIを活用したシステムの開発を進めてきました※1。今般、同技術のさらなる高度化を目指し、本システムを構築しました。
- ※1当社ニュースリリース:AIによる最適発破設計システム(仮称)を国交省の現場で試行中
https://www.toda.co.jp/news/2022/20220225_003024.html
本技術の概要
一般に、発破設計では以下の3項目が主な評価指標となります。
- 1切羽周面の精度:トンネル周面において掘削面が支保工設置に支障がなく、かつ余分な掘削を抑える。
- 2切羽垂直面の精度:奥行き方向の掘削精度を高め、掘り過ぎや掘り残しの少ない平坦な面を形成する。
- 3岩サイズ:発破後の岩石(ずり)が、盛土材への流用やベルトコンベヤ運搬に適したサイズ(30cm以下)となる割合を高める。
従来の発破設計システムでは、これらの指標の一部を対象とするものが主流でしたが、本システムでは、3つすべてを統合して装薬量の最適化を図ります。これにより、切羽面の安定化、余分な掘削の抑制や掘り残しの低減、およびずり処理・運搬に適した岩サイズの確保を通じて、安全性・経済性・生産性の飛躍的な向上を実現します。
機器構成は、坑内環境においてAIの演算処理を短時間で実行できるよう、高性能PCとタブレット端末をローカルWi-Fiで接続する形を採用しています。タブレット画面上では、導出された最適な装薬量が、孔ごとに円の大きさと色で表示され、装薬量の違いを直感的に把握することができます。また、岩サイズが30cm以下となる割合の推定値も併せて表示されます(図-1)。
なお、本システムのAI学習に用いる発破後の岩サイズのデータ取得には、当社が別途開発した、AIを活用した自動判定システムを使用しています※2。
- ※2当社ニュースリリース:AIを活用した発破後の岩サイズを自動判定するシステムを開発
https://www.toda.co.jp/news/2025/20250723_006099.html
現場での試験運用
山岳トンネル現場において本システムの試験運用を実施したところ(写真-1)、削孔データのシステムへのアップロードから結果の出力までは約30秒で完了しました。これにより、切羽作業の中断時間を最小限に抑えて運用できること、および坑内環境下において一連の動作が問題なく機能することを確認しました。

今後の展望
今後は、現場データを蓄積し、AI学習を深めることで、予測精度のさらなる向上を図ります。また、現在の「削孔直後の装薬量導出」にとどまらず、次回以降の発破における削孔位置や装薬量を事前に予測・計画できる機能への拡張を予定しています。さらに、当社が導入を進めている、自動化機械で安全に取り扱えるバルクエマルション爆薬※3へも進める計画です。
これらの取り組みを通じて本システムをさらに高度化するとともに、施工の自動化や無人化を進めることで、安全性・経済性・生産性の向上に貢献してまいります。
- ※3当社ニュースリリース:国内トンネル初となる現場製造バルクエマルジョン爆薬による発破を実現
https://www.toda.co.jp/news/2024/20240412_003349.html
