快適な室内環境を構築する技術 遮音設計・騒音防止設計

概要

都市化が進み、人間の生活空間が過密化するほど「音」にかかわる問題が発生しやすくなります。集合住宅のトラブルでは常に「騒音問題」が上位を占めると言われ、時には裁判沙汰にまでなることがあります。
時代は、快適な響きと静けさに敏感になっています。
戸田建設は、音に関する豊富な技術とノウハウをもとに、お客様の潜在的なニーズまでも的確に具現化し、企画の段階からお客様の信頼できるパートナーとして活動いたします。

ここでは、騒音や遮音に関する予測技術、対策技術、検証技術など、戸田建設の持つ様々な「静かな暮らしを支える技術」を紹介いたします。

騒音の予測

建物ができる前に、室内の騒音レベルを予測し、対策を提案します。また、設計図や数値では判断しにくい場合、実際の試聴などお客様が納得していただける形で判断いただき、実際の建物に反映していきます。

窓遮音設計エキスパートシステム

道路や鉄道に近接して建てる場合、窓を透過して室内に入る自動車騒音や電車騒音などが問題となります。 本システムは、このような外部騒音に対して目標レベルを達成する適切な窓サッシを自動的に選定します。 騒音シミュレーションシステムに組み込むことにより、選定された窓サッシにした時の室内騒音を体感することもできます。

床衝撃音予測

集合住宅の音環境に関する入居者の不満は、床衝撃音に対して最も指摘率が多くなっており、確実な遮断性能予測法と低減対策を検討することが最重要課題となっています。そこで、当社では床衝撃音予測法として広く使われているインピーダンス法を基に、より精度の高い予測を行っています。
当社の床衝撃音予測システムでは床の仕様、受音室の仕様を入力することにより、床衝撃音を精度よく予測することができます。

電車固体音予測
免振ゴム

地下鉄や鉄道の近くに建設される建物では、地下鉄や鉄道振動が地盤を伝搬して建物内に入り、その振動が建物内を伝搬して、壁、天井、床から音として放射される固体音が問題になります。
これを遮断する対策として免震建物に着目しました。地盤からの振動を低減する免震装置の振動伝搬特性を把握し、これを固体音の予測計算に組み入れることにより、電車固体音の精度良い予測・低減が可能となりました。

工事騒音予測
騒音コンターマップ例

工事現場周辺への工事騒音の影響を事前にシミュレーションし、結果をコンターマップで視覚的にわかりやすく提示します。
これにより有効な遮音対策を講じることが可能になります。工事騒音だけでなく、営業中の工場騒音などにも適用できます。

騒音シミュレーションシステム

道路・鉄道騒音等の外部騒音や上階からの床衝撃音、隣室からの伝搬音を、事前に体験・評価しながら、最適な遮音構造を選定できるシステムです。
換気口から入ってくる騒音や空調騒音などの暗騒音も再現できます。
また、騒音の直接音だけでなく、室内に入った後の反射音も加味して、よりリアルな騒音を体験できます。

騒音の低減

騒音を低減する仕組みとして、様々な仕様の部材を開発、使用しています。

プール固体音低減

最近の複合施設では屋内プールがあるものが増えています。プールへの飛び込み時等の騒音が直下階居室に伝搬するのを防止するために、スプリング防振装置を日本では初めて超高層建物に採用し、振動的な絶縁を図りました。直下階居室でほとんど聞こえない程度まで低減し、良好な音環境が得られていることを確認しています。

排水管流水騒音低減仕様

排水管の流水騒音は、騒音レベルが小さくてもその性質上クレームになる場合があります。低減対策について実験を行った結果を踏まえて、排水管流水騒音低減対策の当社の標準仕様を決めています。

床衝撃音低減

床衝撃音専用の実験施設を用い、音だけでなく振動特性にも着目し、多角的な視点で研究、開発を行っています。床衝撃音の発生系に関する基礎的研究から先進技術を駆使した床構造の開発まで、お客様のあらゆるニーズに対応すべく実験を行っています。

TANC(タンク:Toda Active Noise Control)
掘削重機の適用例

建設機械の低周波騒音対策として、騒音と逆位相の音を掛け合わせることによって原音( 騒音) を打ち消しあってキャンセル消音するアクティブ騒音制御(ANC) を行います。掘削重機や発電機の低周波騒音対策として使用することで、建設工事騒音を低減することができます。(土木学会賞、日本騒音制御工学会賞、日本音響学会賞を受賞)

設計時の騒音の検証

設計で詳細な仕様を決定する段階で、音に対する様々な検証を行います。

風切音実験

実大ルーバー風洞実験状況
騒音計測機器

外装に取り付けられるルーバーからの風切音が懸念される場合は、事前に風洞実験によって検証を行います。

建材の音響性能確認

内壁、仕上げ部材、椅子等に対しては、残響室および無響室でその遮音・吸音性能を測定して設計に反映させます。

床・天井の床衝撃音遮断性能を確認

箱型実験室

スラブ、床材、天井材の床衝撃音遮断性能は、床衝響音専用の実験施設でその性能を確認します。

工事・竣工時の騒音の検証

床衝撃音測定システム、音響透過損失測定システム、インピーダンス測定・解析システム、音響インテンシティー測定システム、室間遮音測定システム、振動測定・解析システムほか、最新鋭の測定・解析システムを整えています。これらのシステムを用いて建物の音環境を正確に測定・評価します。

工事騒音測定

工事中の工事騒音を測定し、騒音規制法を順守するだけでなく、クレーム発生を未然に防ぎます。

床衝撃音測定
標準重量衝撃源

集合住宅の竣工時に床衝撃音測定を行い、所期の性能を満足しているか現地で確認します。標準衝撃源で床を加振した時の音を下階で計測します。

室間遮音測定
室間遮音測定状況

竣工時に室間遮音測定を行い、壁が所期の遮音性能を満足しているか確認します。

環境騒音測定

室内外の騒音測定をし、サッシによる外部騒音遮断性能を確認します。

振動測定

立体駐車場振動測定状況
配管振動測定状況

建物内に設置される機械式立体駐車設備や空調機器、配管などは適切に防振対策を施し、竣工時には振動計測により防振性能を確認します。

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論文