地球環境のために 生物多様性への対応

「戸田建設 生物多様性行動指針」を策定し、生物多様性の保全と持続可能な利用に向けた活動を推進しています。

生物多様性方針の策定

当社は、生物多様性の保全とその持続に関する重要性を社員一人ひとりが認識し、建設業務に展開するために、「戸田建設 生物多様性行動指針」を2010年に策定し、生物多様性への対応を推進してきました。2016年には、日本建設連合会等でも「生物多様性行動指針」が制定され、建設業界全体として積極的に生物多様性に配慮した事業展開を行っていくように方向づけられ、公的な公認制度なども充実してきたこともあり、当社でも業界動向に合わせて「生物多様性行動指針」および「生物多様性行動マニュアル」を改訂しました。

当社の生物多様性の行動指針では、①環境教育を通じた理解促進、②建設事業への展開、③資材等の調達、④研究・技術開発、⑤行政・研究機関・外部団体との協働に則った活動を基本理念としています。計画・設計・施工に当たって、生物多様性への影響の回避・低減に努める中、工事着工時のフロントローディングでは本社・支店・現場が一体となって低炭素や希少動植物への対策を立案しています。また施工段階では、騒音・振動・大気汚染防止に努めるほか、生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組み、グローバルな視点を持ち、施工を通じて生物多様性の保全と再生に努めています。最近の例では、東日本大震災の復興工事においては、発注自治体、学識経験者、NPO、周辺住民等との協働を図り、レッドリストに登録されている希少植物・底生生物をビオトープに移行・再生することに取組みました。

戸田建設生物多様性行動指針

基本理念

人類は、これまで地球上で永い年月をかけて育まれてきた生物多様性による沢山の恵み を享受してきました。しかし、産業革命以降の大規模開発によりその恵みを失いつつあります。戸田建設は、生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組み、人間の様々な活動と生物多様性との調和をバランス良く図りながら、グローバルな視点を持ち、建設事業を通じて生物多様性の保全と再生に努めます。

行動指針

環境教育を通じた理解促進

生物多様性の保全とその持続に関する重要性を、社員一人ひとりが認識し、業務に展開することを全社的に推進する。

建設事業への展開

計画・設計・施工に当たって、低炭素や資源循環に配慮することで、生物多様性への影響の回避・低減に努める。

資材等の調達

戸田建設グリーン調達ガイドラインに基づき、持続可能な利用に配慮した調達を、協力会社とともに推進する。

研究・技術開発

生物多様性の保全と持続可能な利用に関する情報の収集・蓄積、調査をおこない、建設と生物多様性との関連性に関する研究や技術開発を推進する。

行政・研究機関・外部団体との協働

生物多様性の保全と持続可能な利用に関する活動、研究内容を開示し、顧客、行政、自治体、研究機関、企業、NGO、NPO、周辺住民等との協働を図り、生物多様性の保全に努める。

2017年12月

生物多様性の保全に向けた取り組み

希少動物の保護と自然環境の保全・活用

生態系ピラミッドの頂点に君臨する猛禽類は、地域環境の指標種として重要です。営巣の位置から半径400mの範囲では、ヒナが育つまでの数ヶ月間は特に工事上の配慮が必要とされます。猛禽類が生息する地域での工事では、必要な対策を行い、生態系に配慮しています。
例えば、営巣木に対してカメラ、マイク、ドローンなどで定点観測を行いながら、大型バックホウを小型に変更したり、騒音対策型ダンプの採用及び営巣地に近い区域の工事を非繁殖期に集中して施工するなどの取り組みを行っています。

猛禽類の巣

東日本大震災により被災した二級河川津谷川の堤防復旧工事において、堤防工事と並行して、レッドリストに登録されている希少植物(ウミミドリ、オオシバナ)・底生生物(カニ類)が生育・生息する塩性湿地を、ビオトープに移行・再生しました。
外部学識者の指導をいただきながら、移植先の環境が適さなかった場合も想定し、3カ所に分散移植しリスクを低減する等の工夫も行っています。
また、堤防工事の計画についても、植生範囲を避けて通路を設けるなどの最善の工夫を行っています。

底生生物(カニ類)

生物多様性保全に向け、エコロジカルネットワークの形成に寄与

都市開発が進むにつれて、地域に生息していた昆虫や小鳥などの生物が生息できる緑地が減少し、ヒートアイランド現象等の環境問題が発生しています。
生物多様性保全するためには、敷地の空いているスペースや建物の屋上などに緑地やビオトープを設置することによって、周辺の公園や樹林地を生態的回廊でつなげ、生物の移動を可能にするエコロジカルネットワークを形成することが重要です。
私たちは、生物多様性保全の観点から、筑波技術研究所の緑地が周囲とのエコロジカルネットワークの一部になるように展開することで地域の生態系に貢献しています。
この取り組みは自然の持つ多様な機能を高めるグリーンインフラの取り組みにもつながっています。

エコロジカルネットワークのイメージ図
(赤枠は筑波技術研究所)

筑波技術研究所における屋上ビオトープの造成

植物だけでなく、水辺を有するビオトープは、緑化活動において中心的な役割を果たすと考え、筑波技術研究所の大型実験棟の屋上にビオトープ(2002年~2017年)を造成しました。このビオトープは、「五感を感じるアーバンオアシス」をコンセプトにやすらぎや癒しが得られるような「アメニティ型ビオトープ」を目指しました。ここで、動植物の状況はもちろん、熱環境や構造体への影響など、さまざまな角度から16年間にわたる調査を実施し、有用なデータを蓄積することができました。

春(2002年竣工時)
夏(2015年)
屋上ビオトープ概要図(大型実験棟屋上)

筑波技術研究所での緑化活動では、分断されている生態系拠点(パッチ)となるビオトープや樹林地を生態的回廊(コリドー)でつなげることにより、生物の移動を可能にするエコロジカルネットワークを形成に寄与し、生物多様性の維持・保全に貢献することを目指しています。これまでモニタリング調査により、キジバトやアオジ、シジュウカラなどの鳥類や昆虫類が飛来していることが観察されています。

生態系拠点となる「つくば再生の里」の創出

これまでの計画では、見た目の美しさや、剪定などの管理の容易さなどにより園芸種の植物が選ばれることが多く、国外からもそういった植物が持ち込まれてきました。その結果、国外から持ち込まれた植物は、繁殖する力が強いため分布を広げ、その地域に昔から生育する植物の生存を脅かす事例も見られるようになり、日本の在来植物を緑化に用いることの重要性が広く認識されるようになりました。

そのため、2018年11月には、筑波技術研究所内に新たに地域に由来する在来植物(以降、地域性在来植物)を用いた 地域性在来植物ビオトープ『つくば再生の里』を造成し、新たな生物多様性拠点として研究活動を始めました。

整備概要
住所
茨城県つくば市要315
戸田建設筑波技術研究所内
竣工
2018年11月
面積
約200m2(うち水域:約35m2
主な植栽樹種
(高木植物)コナラ、エノキ、エゴノキ、シラカシ等
(低木植物)ムラサキシキブ、イボタノキ等
(地被植物)マンリョウ、クサイチゴ、テイカカズラ等
(湿性植物)イヌホタルイ、セリ、ケキツネノボタン等
外観(撮影時期2019年8月)
造成範囲

地域性在来植物トレーサビリティ認定を取得

地域性在来植物による緑化の適正な普及のためには、植物の採取から育成、出荷までの工程における、適正な管理が求められます。「つくば再生の里」では、造成工事前に植栽に用いる植物の種子及び苗を採取した場所、育てた場所、その間の管理方法など出荷に至る履歴を連続的に記録し、育成し、樹木に対するトレーサビリティ認定を取得しました。

認定団体
(一社)生物多様性保全協会
認定番号
製第20190007号
認定日
2019年5月13日
「つくば再生の里」の樹木

関東・水と緑のネットワーク百選に選定

当社の筑波技術研究所の緑化活動は、一般社団法人関東地域づくり協会と公益財団法人日本生態系協会とが主催する 第7回「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」(2015年10月)に選定されました。

審査員には、自然が多くあるエリアで拠点として利用できること、限られた面積の中で最大限にビオトープを生かしていることを評価していただきました。

第7回「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」選定証

ホタルを守り移転工事

九段坂病院建設工事(東京都千代田区)は、千代田区の高齢者総合サポートセンターと九段坂病院が一体となった施設で、正面は道路に面し、両隣は九段会館と千代田会館に挟まれ、牛ヶ淵に面した部分は石垣の塀という立地に建設されました。
牛ヶ淵は、江戸城の内堀のひとつで希少なヘイケボタルの生息地です。牛ヶ淵に生息するヘイケボタルは固有種とされ、ホタル以外にも貴重な生態系が残る場所です。
ヘイケボタルは、夜間明るいと繁殖に支障をきたすため、お濠側の遊歩道、5階屋上テラスの照明器具は庭園灯などを低い位置に設置し、直接光がお濠側に当たらないように配慮しました。また、タイマー設定により午後9時に消灯するなど、保護に配慮をした工事を実現しました。

九段坂病院外観

名古屋支店の屋上を緑化

2015年より名古屋支店社屋であるTODA BUILDINGの1階の植栽整備のほか、屋上緑化を行っています。屋上緑化では夏場における室温上昇と電力消費量を抑え、CO2を削減することを目的として取り組んでいます。植栽の種類はツルマンネングサで、耐暑性・耐寒性があり環境の変化に強いのが特徴です。緑化した面積は80.4m2で、今年度は新たにプランターによる植物の栽培も行いました。
今後も継続的に夏場の温度計測や電力消費量を調査し効果を検証していきます。

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