環境 TCFD提言に基づく情報開示

当社グループでは、2050年に向けて目指す経営の姿を「サステナビリティビジョン2050」として定め、マテリアリティ(重要課題)として「脱炭素社会の実現」を特定しています。

気候変動に関連する物理的リスク、移行リスクを適切に把握、対処して企業としてのレジリエンスを高めていく一方、事業機会を特定し、それに戦略的に取り組んでいます。
2019年5月にTCFD※1への賛同を表明し、TCFD提言にもとづく気候変動に関連する財務情報開示を積極的に進めています。当社では毎年シナリオ分析の見直しを実施し、脱炭素社会の実現に向けた社会変化が、当社の事業運営に統合されるよう努めています。なお、シナリオ分析には、4℃シナリオ(RCP 8.5シナリオ※2等)、2℃未満シナリオ(NZEシナリオ※3等)を使用し、その結果を当社の事業、財務計画に統合しています。

  • ※1金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース
  • ※2気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示す代表濃度経路シナリオで、2100年までに2.6~4.8℃の気温上昇が起こる望まれない世界。
  • ※3Net Zero Emissions by 2050(NZE)シナリオの略。国際エネルギー機関(IEA)が示す移行シナリオで、2050年までにCO2排出ネットゼロが達成され、気温上昇が1.5℃に抑制される望まれる世界。

ガバナンス/リスク管理

当社は気候変動に関連するリスクと機会の特定・評価・管理体制を「気候変動リスクマネジメント規程」に定めています。これらのリスクと機会は「戦略的影響度※4」および「財務的影響度※5」から評価され、その重要度(優先順位)は前述の2つの影響度から設定しています。
当社グループの重要リスクは、これらのリスクと機会の中から、環境エネルギー委員会での議論を経て特定され、サステナビリティ戦略委員会に報告されます。そしてこれらの重要リスクは、リスク管理部門、財務部門、経営企画部門、広報部門と連携され、当社の経営戦略等に統合されます。
取締役会はサステナビリティ戦略委員会から気候変動関連の事項について報告を受け、必要に応じてサステナビリティ委員会にて議論を行い、気候変動関連の課題への取り組み状況の監督を行っています。

  • ※4リスクと機会の「影響度(5段階での評価に加え、ステークホルダーへの影響も併せて評価)」と「発生可能性(4段階)」より評価
  • ※5リスクと機会の「収益、費用、資産と負債、その他」においてそれぞれ設定した金額の閾値より評価

戦略

当社では、気候変動関連のリスクと機会を短期(3年以下)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸により、特定、分析、評価しています。当社では短期、中期(2030年度)、長期(2050年度)という視点で実施したシナリオ分析により、気候変動関連の当社のリスクと機会を特定し、当社の営業利益への財務的影響を評価しました。これらのリスクへの対応、機会の実現に向けた戦略や財務計画は、当社の「中期経営計画2024ローリングプラン」を含む事業戦略に適切に組み込まれています。

シナリオ分析に使用した主要なパラメータ

  現在 2030年 備考・出所
4℃の世界 2℃未満の世界
炭素価格 炭素税 289 円/t-CO2 45ドル 140ドル IEA WEO 2022
(現状政策シナリオの平均と2050年排出ゼロシナリオの先進国の値)
施工条件悪化 労働生産性低下率 0.4% >0.99% 0.99% ILO Working on a warmer planet
熱中症搬送者数 1倍 1.4倍 1.26倍 気候変動適応情報プラットフォーム
建物の省エネ ZEB目標 新築建築物はZEB水準の省エネ性能が必須 新築建築物はZEB水準の省エネ性能が必須 脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会(国交省、経産省、環境省)
建物のエネルギー需要量 3.9EJ 3.5EJ 3.2EJ IEA WEO 2022
再エネ電源拡大 太陽光・風力発電
(屋根置き除く)
45.5GW 76.6GW 111.2GW 2030年度におけるエネルギー需給の見通し(資源エネルギー庁)
洋上風力発電 <10GW 10GW 洋上風力産業ビジョン(第1次) 2040年 30~45GW
異常気象の激甚化 洪水による都市への被害 2,000億円 2,600億円 2,200億円 国土技術政策総合研究所資料より推定

気候変動関連の重要リスクと対応策

影響を受けた事業・戦略・財務計画等参考リンクはこちら[PDF:13.7MB]

当社の2030年度の営業利益への影響評価では、4℃シナリオに比べ、2℃未満(1.5℃)シナリオでは再エネ関連の利益増加額が大きく、営業利益の増加額が増大するという結果となりました。当社はこの2030年を対象とした営業利益への影響評価を2020年に初めて実施しました。その後、毎年シナリオ分析結果を見直していますが、当社のリスクと機会の財務的影響の評価において大きな変化は生じていないため、下のウォーターフォール図は据え置きとしています。なお、シナリオ分析及び財務的影響評価の結果は当社の戦略に統合されています。
また、当社ではパリ協定が示す1.5℃の世界に確実に移行していくために、「カーボンニュートラル実現に向けた行動計画」を策定しました。

営業利益への影響評価(2030年2℃未満シナリオの場合)

営業利益への影響評価(2030年4℃シナリオの場合)

指標と目標

当社は環境大臣との「エコ・ファーストの約束」、そしてSBT※6において、温室効果ガスの削減目標を設定しています※7。また、2019年1月にRE100イニシアチブに加盟し、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーとする取り組みも推進しています。

環境目標と実績はこちら

  • SCIENCE BASED TARGETS DRIVING AMBITIOUS CORPORATE CLIMATE ACTION
  • RE100
  • ECO FIRST
  • BOSS IKUBOSS AWARD 2016