環境 建設廃棄物と有害物質の管理

建設物のライフサイクル全般にわたり、建設廃棄物の削減と最終処分率の低減並びに有害物質の適切な管理に努めています。
また、新築工事においては作業所ごとに建物用途、規模に応じた排出総量の目標値を設定して、建設廃棄物の低減に努めています。

建設廃棄物を削減する技術や工法

循環型社会形成に向けて、建設廃棄物の3R※1活動を推進し、建設廃棄物の削減と最終処分率※2の低減に努めています。

  • ※13R:Reduce(発生抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(再生利用)の頭文字をとった言葉。
  • ※2最終処分率:建設廃棄物の最終処分量を排出総量で除したもの。最終処分量とは、直接最終処分場に搬送する埋立処分量と、中間処理後の埋立処分量を合計したもの。

泥水式シールド工法で発生する重金属汚染土の浄化システムによる環境負荷低減

近年、鉄道や道路整備を目的としたシールド工事での大深度・大断面施工が増加しています。大深度となる地下40m以深の地質(特に固結シルト層)では環境基準値を超えるヒ素をはじめとする自然由来の重金属の溶出が確認されています。大断面では大量の掘削土砂が発生するため、環境への影響が憂慮され処理に大きなコストが必要となります。
重金属汚染土浄化システム[PDF:228KB]は泥水式シールド工事から発生する汚染土に、ヒ素や鉛などの重金属の吸着性能を有した特殊鉄粉を添加し、磁気選別機または遠心分離機で除去することにより、基地内で汚染土を浄化処理し環境基準値以内とすることが可能となる環境配慮型の浄化システムです。
システムの特徴として発生する余剰泥水を濃縮し比重を上げ(通常1.2を1.4に上昇)浄化対象の泥水量を約50%低減し、浄化システムを縮小(もしくは浄化時間を半減)することができます。この浄化システムを使用することで従来の全量最終処分とする方法と比較して、工事費全体で15%程度、処理設備損料および土砂処分費のみの比較で30%程度のコストダウンが可能となります。

気泡掘削技術を用いた地盤改良工法

セメント系スラリーを用いた機械攪拌による地盤改良工法は、原位置土に固化材スラリーを攪拌混合して、比較的安価に所要強度の地盤に改質する確実性の高い工法です。一方、地盤掘削時の地盤流動性を確保するために、多量の水(W/Cの大きい固化材スラリー)を地盤に添加する必要があることから、余剰汚泥量が増加しその抑制が大きな課題となっていました。
気泡掘削技術は、地盤を掘削する際に微細な気泡を添加することで、掘削土の流動性と遮水性を向上させ、従来工法に比べて加水量を低減できることから、固化材量の低減および余剰汚泥量の削減が図れる環境配慮型の地盤改良技術です。本技術を用いた地盤改良工法として、

「AWARD-Ccw(アワードシーシーダブリュー)工法:気泡掘削技術を用いた柱列式ソイルセメント壁工法」
「AWARD-Demi(アワードデミ)工法:気泡掘削技術を用いた深層混合処理工法」

を実用化し、流動性、混練性の向上により、改良体の品質向上とともに、建設汚泥量を30~40%削減することができます。

高吸水性ポリマーを用いた安定液掘削技術(AWARD-Sapli(アワードサプリ)工法)

場所打ち杭等の基礎杭掘削工事では、孔壁を保護するために安定液を用いることが一般的ですが、近年の大規模・大深度化によって安定液使用量および産廃処分となる建設汚泥量は増加の傾向にあります。安定液は施工中繰り返し使用する中で徐々に性能が低下し、発生する多量の安定液の処分が問題となっていました。
AWARD-Sapli工法は、従来のベントナイト系安定液の代わりに高吸水性ポリマー材を利用した安定液(サプリ安定液)を用いる安定液掘削技術です。サプリ安定液は、掘削施工中は荷電した細粒分土粒子を取り込んで膨潤した状態で懸濁性を保持していますが、塩化カルシウムCaCl2を添加すると、付着土粒子とともに沈降し、安定液を水と土砂に容易に分離することができます。分離水はpHや濁度等を所管の排水基準に適合させて下水等に放流できるので、産廃処分量の減量化が図れます。このサプリ安定液の分離特性により、廃棄安定液の産廃処分量は従来よりもおよそ50~80%減量化が可能です。

有害物質のリスク管理

有害物質は人体に影響するため、その適切な対応が大切です。
当社では、有害物質対策に向けた技術開発と、そのリスク管理の徹底を図っています。

放射能廃棄物データ管理システム「TOMIC」を開発

当社は、2013年開発したTOM(トム)コンテナ(Toda Mobile Container:移動式放射性廃棄物用プレキャストコンクリート(PC)製格納容器)のさらなる活用を目指し、RFIDタグ※3を活用した放射性廃棄物データ管理システム「TOMIC(トミック)」[PDF:398KB]を開発しました。
管理に必要なデータは、放射性廃棄物収納後に入力できるようにしており、購入したお客さまがニーズに合わせて管理項目を選択し、データ管理を行うことができます。従来よりも放射性廃棄物管理における作業時間が低減し、かつ仮置き場など移動先での照合確認が容易となります。

  • ※3RFIDタグ:耐環境性に優れた数cm程度の大きさのタグにデータを記録し、電波や電磁波で読み取り器と交信する。微小な無線チップにより管理者やモノを識別・管理するしくみ。
RFIDタグ(上)、タグリーダー(右)、専用アプリの画面(中央)
RFIDタグを埋め込んだTOMコンテナ

放射性物質に汚染されたコンクリートを再利用

当社は、2013年に放射性物質に汚染されたコンクリート塊の再利用方法として、コンクリート用骨材として利用するための実験を行いました。放射性物質に汚染されたコンクリート塊を骨材として再利用したコンクリート[PDF:148KB]は、外部へ放出される放射線量を約40%低減できることを確認しました。 これは環境省の平成24年度除染技術実証事業のひとつとして実証実験を行ったもので、再利用を前提に福島県内で実証実験を行ったのは初めての試みになります。

(左)汚染されたコンクリート(骨材に破砕) (右)骨材利用したコンクリートの試験ピース

ビル外壁の線量測定ロボット「さー兵衛」

当社は2013年にビル外壁部の放射線量を測定する壁面放射線量測定システム「さー兵衛」[PDF:340KB]を開発しました。屋上から吊り下げた測定装置を壁面にそって上下させながら測定するロボットシステムで、従来と比べ作業員の被ばく量の低減、作業時間の短縮、費用の削減が可能になります。除染の企画・調査(さー兵衛)から除染作業(バキュームブラストロボットシステム[PDF:285KB])、放射性物質の拡散防止(TOMコンテナ[PDF:203KB])、放射性廃棄物管理(TOMIC[PDF:398KB])まで当社独自のソリューションをワンストップで提供できるトータル除染システムが確立されました。

福島県内のビル屋上で測定ロボットシステムをセット(全パーツを工具レスで組立)
電動昇降し、自動測定する「さー兵衛」

除去土壌の輸送工事において輸送管理システムの導入により確実なトレーサビリティを確保

除染によって生じた除去土壌などは大型土のう袋に入った状態で福島県内の仮置き場に保管されています。仮置き場からこれらの除去土壌などを中間貯蔵施設に輸送するにあたっては、環境省が定めるガイドラインに沿って、土のうなどのトレーサビリティを確保することが求められます。
当社は除去土のうなどの輸送工事において、輸送管理システムを導入し、土のうの仮置き場の場所、重量、線量率などのトレーサビリティ確保を図っています。

輸送管理システムの概要

  • 仮置き場の土のう全てに新しくタグを取り付け、輸送時の重量や線量率データを追加したうえでタブレット端末で管理することで確実なトレーサビリティを確保
    (どこの仮置き場の、どの土のうが、どのようなルートで、どの保管場所に、いつ運ばれたかなど)
  • 輸送中のダンプトラックはGPSでリアルタイムで動態管理
    (指定されたルートを予め決められたダンプトラックが走行していることをリアルタイムで確認。万が一、指定されたルート以外を走行してしまった場合には、運転手に速やかに通知する機能を備えることで確実にルート逸脱を防止。)
  • 土のうの輸送管理にタブレット端末やGPS機能を活用することで、作業現場における入力ミスなどを防止するとともに、省力化を図り生産性向上に寄与

土のう積込み状況

輸送状況

荷下ろし状況

輸送状況監視状況

廃プラスチックの削減・3R推進

建設現場では、建設資材や梱包材などにプラスチックが多く使われ、廃プラスチック類が排出されています。建設業においても、多量に排出される廃プラスチック類の発生量・排出量の削減、再資源化等の推進が課題となっています。

廃プラスチックの高度分別による再資源化等

当社では、高度な分別の実施、有価売却等の取り組みを積極的に展開しています。関東地方の大型物流施設の建設現場では、中間処理後に有価売却できる特定の軟質プラスチックを建設現場で分別して排出することで再資源化等の向上を図りました。なお、この分別回収には、IoT技術を活用したスマートゴミ箱(スマゴ)を活用し、太陽光パネルと蓄電池を搭載したスマゴが、投入された軟質プラスチックを自動で約1/5に圧縮・減容し、効率的に回収することで運搬に係るCO2排出量の削減にも寄与しました。
今後、他現場においても様々な取り組みにより廃プラスチック類の排出量の削減、再資源化等の推進に努めていきます。

廃プラスチックの分別状況
スマートゴミ箱による
圧縮・減容

広域認定制度を活用したヘルメットのマテリアルリサイクル

全国の作業所で使用済みとなったヘルメットは、環境大臣の広域認定を受けたメーカーの回収・リサイクルスキームにて、樹脂成型品素材にマテリアルリサイクルされています。今後も同スキームでのリサイクルを拡大し、最終処分量の削減と資源循環の取組みを進めます。

返却された使用済みヘルメット

新ユニフォームはリサイクル素材に再生

当社は、2021年の創業140周年事業の一環として、デサントが展開するトレーニングウエア「ZERO STYLE」をベースに、動きやすく機能的でスタイリッシュなユニフォーム(作業服)に刷新しました。
地球環境に配慮したサステナブルな観点から、不用になったユニフォームは回収・再生ポリエステル素材にリサイクルされ、サーキュラー・エコノミーの実現に貢献します。

  • SCIENCE BASED TARGETS DRIVING AMBITIOUS CORPORATE CLIMATE ACTION
  • RE100
  • ECO FIRST
  • BOSS IKUBOSS AWARD 2016