CSR トップメッセージ

「高付加価値競争」を通じた事業活動の継続進化と企業価値の向上を目指します。
代表取締役社長
今井 雅則

戸田建設グループの目指す姿

グローバルビジョンを当社グループ全体で共有し、継続進化を実現することで、当社グループの存在価値を高め、社会の持続的な発展に貢献してまいります。

はじめに、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々、ご遺族の皆さまに謹んで哀悼の意を表すとともに、罹患されている方々や、困難な状況におられる皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、世界各地で治療や感染予防にご尽力されておられる方々に感謝と尊敬の意を表します。
近年、地球規模で解決が求められる社会課題が山積する中、持続可能な社会の実現に向けて、国際社会が連携して課題解決に取り組むことが求められています。そのような状況の中、2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症の拡大は、今もなお世界中の経済活動や人々の暮らしに計り知れない影響を与えています。さらに、気候変動に起因する豪雨や台風も激甚化しており、私たち建設産業は防災・減災対策、さらには、老朽化するインフラの再生など、果たすべき責任が一段と大きくなっていると認識しています。
当社グループはこれまでも、環境保全や社会インフラの整備、防災・減災対策、将来の建設労働者不足懸念への対応など、建設業に関連する課題を中心に、ステークホルダーと連携・協力しながら課題解決に向けて取り組んできました。1881年の当社の創業以来、企業活動を通じて社会の発展に貢献することが、私たちのアイデンティティ、存在意義であり、この姿勢に変わりはありません。
戸田建設グループグローバルビジョン「"喜び"を実現する企業グループ」には、お客さま、社員、協力会社、ひいては社会全体の"喜び"をつくり出し、それを自信と誇りに変えて成長を続けていく企業でありたい、という想いが込められています。私たちが目指すのは、グループの成長だけでなく、ステークホルダー全体の豊かさの追求です。このビジョンを当社グループ全体で共有し、継続進化を実現することで、当社グループの存在価値を高め、社会の持続的な発展に貢献してまいります。

2019年度の概況と2020年度の見通し

堅調に推移してきた市場環境の中、中期経営計画2019の業績目標を達成しました。

2019年度の概況

2019年度における国内景気は、雇用、所得環境を中心に、緩やかな回復基調が続きましたが、年明けからの新型コロナウイルス感染拡大により、景気は急速に悪化しており、今後さらに下振れするリスクに十分注意する必要があります。建設業界においては、建設投資が底堅く推移する中で、新型コロナウイルス感染拡大による事業活動への影響が段階的に顕在化しています。
このような状況の中、当社グループの連結売上高は、主に投資開発事業等の売上高が増加したことにより、5,186億円(前期比1.6%増)となりました。利益面につきましては、主に投資開発事業等の売上総利益が増加したことなどにより、売上総利益は703億円(前期比4.8%増)となりました。
一方、販売費及び一般管理費は人件費の増加等により、351億円(前期比7.7%増)となりましたが、営業利益は352億円(前期比2.1%増)となり、経常利益も382億円(前期比2.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、固定資産廃棄損等が発生しましたが、投資有価証券売却益等により、258億円(前期比1.0%増)となりました。

2020年度の見通し

今後の情勢については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、極めて厳しい状況が続くと見込まれます。建設業界においては、インフラ整備を中心とした公共事業投資が期待されるものの、民間設備投資については先行きの不透明感による縮小が想定されます。また雇用環境の変化による労務圧迫に加え、サプライチェーン機能の低下にともなう資材供給停滞、感染予防対策の実施などにより、工事などの進捗度および収益性への影響が懸念されます。
こうした状況を踏まえ、当社グループでは2020年度業績を連結売上高4,970億円(前期比4.2%減)、営業利益260億円(前期比26.2%減)、経常利益285億円(前期比25.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益190億円(前期比26.5%減)と見込んでいます。

中期経営計画2024

「『高付加価値競争』を通じた事業活動の継続進化と企業価値の向上」を実現するResilientな企業グループを目指します。

中期経営計画2024の策定

2019年度を最終年度とする中期経営計画2019は、約30年後の2050年の社会予測(Next Future Map)をベースに、将来の当社グループの社会における存在意義も明確に捉えた上で、想定する未来からバックキャストして作成した成長戦略です。その計画は、戸田建設グループグローバルビジョンの実現に向けたフェーズⅡとして位置づけられ、持続的成長に向けた収益基盤を構築するために、リソースシフトと新価値創造に取り組んできました。
現在はVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代と言われていますが、その様相はさらに厳しさを増しています。当社グループにおいても取り巻く経営環境は変化が激しく、先行きにも急速に不透明感が増しています。特に、現下の新型コロナウイルス感染拡大の影響は、業績面はもとより、中長期的観点からはビジネスモデルにおけるパラダイムシフトとなることが予測されています。また、気候変動や資源不足、人口構造の変化などにともなう社会的課題の解決に向けた積極的な取り組みなど、社会価値(ESG・SDGs)と経済価値を重視した経営が一層強く求められています。
加えて、本5ヵ年は将来の事業基盤の一つとなる(仮称)新TODAビル(本社ビル)の建設にともなうリソースの減少に対応するため、さらなる生産性向上が求められます。
そのような状況においては、激しい変化の中で新たに求められる価値を提供するため、技術力などをもって建設業を極め、また、新たな領域に挑戦し続けることで、事業の活性化と継続進化を実現し、新たな収益基盤を構築することが持続的な成長に不可欠です。このような認識のもと、当社グループは、中期経営計画2024を策定し、常なる改革を行い、自ら変わり続けていくこと(Transform)によって持続的成長を実現してまいります。

目指す方向性

上述のように、本計画は、戸田建設グループグローバルビジョンの実現に向けた、新たな収益基盤構築のための「変革フェーズ」として位置づけられ、目指す方向性として「『高付加価値競争』を通じた事業活動の継続進化と企業価値の向上 -Resilient-」を掲げ、取り組みの4つのキーワードを打ち出しています。
ひとつ目は、世界に通用する組織・マネジメント体制の確立と人財の育成・強化を目指す「グローバリゼーション」です。その狙いは、縮小が予想される国内市場に対して、拡大が予想される海外市場の重要性が増していく中で、今後ますます進展するグローバル化に対応していくことです。どこでも活躍できる環境整備とシステムおよび人財を構築し、戸田建設グループ社員一人ひとりの考え方を地球規模に転換して、「世界に通用するTODA」を実現することです。
二つ目は、ステークホルダーを意識した行動による評価の獲得を目指す個人と組織の自己改革を実現する「ブランディング」です。当社グループに対するステークホルダーの期待と当社グループが提供する価値とのギャップをブランディング活動により埋めていきたいと考えています。
三つ目は、顧客の想定を超える斬新かつ魅力的な価値創出力の強化を目的とした「イノベーション推進」です。
そして、四つ目は、無形資産やESG価値の形成と増加による差別化、積極的な情報発信による企業価値向上を目指す「ブランド価値資産構築」です。企業価値は有形資産だけではなく、ESG価値を含む無形資産を合わせた姿で評価されています。つまり、私たちは営業利益や労働生産性などの「経済価値」だけを追求するのではなく、社会課題の解決に貢献する「社会価値」も提供していくことで企業価値を高めることができると考えています。さらに、当社グループが実現を目指す「経済価値」と「社会価値」をさまざまな指標により公表していくことで、企業活動の付加価値力や、市場における競争力の強化と財務的リターンの獲得に効果的につながると考えています。
当社グループは、加速するVUCAの時代において、グローバリゼーション、ブランディング、イノベーション推進、ブランド価値資産構築の4つをキーワードに、ステークホルダーの皆さまの期待を超えるソリューションを提案することにより、事業活動の継続進化と企業価値の向上を目指します。

2024年度 グループ業績目標

中期経営計画2024における具体的なグループ業績目標として、2024年度での連結売上高6,000億円程度、営業利益420億円以上(営業利益率7.0%以上)、自己資本利益率(ROE)8.0%以上、労働生産性(個別)1,750万円以上を目指しています。投資計画は、計画期間累計で1,600億円を計画しており、投資開発、新領域、技術・ICTの分野に積極的な成長戦略投資を実施します。
また、株主還元については、自己資本配当率(DOE)および配当性向を総合的に勘案の上、継続的・安定的な株主還元を実施します。

中期経営計画2024の事業方針

3つの事業方針を軸に、社会価値(ESG・SDGs)と経済価値を重視した経営を実践していきます。

安全性・生産性No.1

将来の建設産業の担い手不足が懸念される中、安全確保と生産性向上への取り組みは、当社グループが持続的な成長を実現する上で最も重要です。これまでもさまざまな施策を進めてきたことで一定の成果を上げてきましたが、生産システムや業務プロセスの改革、技術開発を一層強化する必要があります。具体的には、設計・計画段階におけるフロントローディングの事前検証をこれまで以上に徹底します。また、機械化施工や新技術・ICTの積極的な利活用に加え、行動分析や可視化などに基づいた施策も実行していきます。さらに、潜在意識に関する知見(危険予知、脳科学、行動心理学等)をも踏まえた安全教育の実施などにより、安全性・生産性のさらなる向上に取り組みます。
また、2019年12月末に本社ビル建て替えにともなう、本社組織の分散仮移転が完了いたしましたが、これを契機に、生産性・創造性を高めるワークスタイルへの変革に取り組んでいます。具体的には、フリーアドレスやモバイルPCを基本としたフレキシブルな働き方の導入やコミュニケーションを促進する執務室・会議室などのワークプレイスの整備により、効果的なICTの活用を通じたABW化を推進しています。作業所においては、将来の担い手不足懸念の解消に向け、より魅力的な職場環境を整備できるよう、安全の確保とともにICTを活用した生産性の向上や4週8閉所の実現に挑戦しています。

ABW(Activity Based Working):仕事の内容に合わせて働く場所を選ぶ働き方。

高付加価値の提供

変革の時代において、企業は自身の変化とともに、さまざまな社会課題を解決する役割が求められます。そして、そのような視点で注力分野における差別化価値を獲得していくことが、持続的に成長していく企業としての必須の条件であると当社グループは考えています。
建築事業においては、作業所におけるICTの活用や設計から施工、維持管理までの一貫したBIMでの取り組みを加速させるために、フロントローディング推進体制の強化や、現場におけるBIM利用環境の整備などを行ってきました。今後、さらに取り組みを推進し、病院・学校、高付加価値オフィス、再開発、物流施設などの分野に注力して、競争力を強化し、高付加価値の実現へとつなげてまいります。
土木事業においては、組織的な施工支援体制の拡充を行うとともに、トンネル工事でのICT施工の活用により、省力化、無人化への検証を進めるなど、生産性向上に向けた施策を実施してきました。今後は豊富な手持ち工事を計画的に進捗させる中で、作業所における新技術の積極的な採用や技術開発を行ってまいります。
さらに、建設事業においては、デジタル化の進展がもたらす社会変革であるデジタルトランスフォーメーションに向けた変化を見極め、BIM/CIM、i-Constructionなどの活用を通じた新たなビジネスモデルの創出を図っていきます。また、海外工事拡大に向けた体制の整備を通じて、全社的な施工能力・収益力の向上を図っています。
戦略事業においては、「投資開発」「新領域」「グループ会社」への重点投資を行い、収益基盤のグローバル化・多角化・多様化を推進していきます。(仮称)新TODAビル(本社ビル)においてスマートオフィス化を志向し、これを通じて新たな価値提供(Baas: Building as a Service)を実現します。

企業価値の向上に向けたESG・SDGs経営の実践

社会課題が山積し、その解決への取り組みが重要性を増す今後の時代においては、ステークホルダー価値の向上を重視する企業だけが社会から受け入れられ、ビジネスチャンスをつかむことができます。当社グループでは、このような観点からESG経営を実践しており、SDGs達成への貢献を含めた、取り組みを推進しています。
環境関連では、脱炭素・資源循環・環境保全・地域活性化に向けた課題解決型企業活動を実践します。「パリ協定」を契機に、世界が「脱炭素社会」へと向かう中、当社は2019年5月にTCFD提言への賛同を表明。気候変動に関連するリスクと機会についてシナリオ分析を行うとともに、その戦略的な活用と情報開示などへの対応を強化しています。

社会関連では、多様・多彩な人財を育成・確保するとともに、労働環境整備および働き方改革を推進し、組織能力の強化を図ります。担い手不足が懸念される建設技能者に関しては、助成事業等を実施する「戸田みらい基金」や「建設キャリアアップシステム」への登録を支援する「キャリアアップサポートセンターTODA」を通じて、建設産業全体の発展に寄与していきます。

ガバナンス関連では、リスクマネジメント(環境、自然災害、投資、コンプライアンス等)を強化し、これらの知見を活かした技術開発、製品・サービス化を推進します。たとえば、地震への対応に関しては、地震時に建物の揺れの大きさや損傷度合いが瞬時に分かる地震モニタリングシステム「ユレかんち」の開発・普及などを行っています。また、環境エネルギー分野の強化に向けて、新たに環境エネルギー事業推進委員会を新設しました。今後、各部門が連携して環境エネルギー事業の強化を図り、社会課題解決への取り組みを強化してまいります。

新型コロナウイルス感染症への対応

感染防止対策を徹底し、事業継続ならびに業績への影響の最小化に取り組んでまいります。

当社グループでは今般の新型コロナウイルス感染拡大を受け、感染防止のためのさまざまな対策を行っています。たとえば当社では初期段階では災害対策本部において、全社的な対応体制を整えました。さらに、対応の長期化に備え、新しい生活様式の実践・定着も視野に常設組織として新型コロナ対策委員会を設置し、政府や自治体をはじめ関係機関の方針に基づき、当社社員・協力会社社員への感染防止および感染拡大の阻止に向けた対応を推進しています。当社グループは今後も引き続き感染防止対策を徹底することにより、事業継続ならびに業績への影響の最小化に取り組んでまいります。

"喜び"を実現する企業グループへ

技術やサービスの向上に努め、お客さまとの永い信頼による“継続進化”を生み出す、期待を超えるソリューションをご提案することにより、「価値ある戸田建設」の実現を目指します。

社会課題の多様化・複雑化が進む中、これからの時代は、社会にどのような価値を提供できるかといった、企業の存在価値が一層問われる時代になっていくものと考えています。このような不確実な時代だからこそ、グローバルビジョンを含む企業理念体系と中期経営計画2024を軸に、ぶれることなくグループ経営を推進していきます。
当社グループは、これからも技術やサービスの向上に努めるとともにグローバル化とブランドの確立を進め、ステークホルダーの皆さまとの永い信頼による継続進化を生み出す、期待を超えるソリューションを提案することにより、「価値ある戸田建設」の実現を目指します。

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