地球環境のために 温室効果ガスの発生抑制

地球温暖化防止に向け、建設物のライフサイクル全般にわたって、温室効果ガスの発生抑制に取り組んでいます。

温室効果ガス発生を抑制する技術や設計

わが国では、2009年に経済産業省が「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)※1の実現と展開に関する研究会」を設置し、「2030年までに新築建物全体でZEB化を実現する」というビジョンを提言しています。
当社はこのビジョンを受けて、オフィスビルのZEB化を目指して、技術開発に取り組んでいます。

  • ※1ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル):建物で使うエネルギーを限りなくゼロにする考え方のこと。

脱炭素技術の実現に向けた研究開発の強化

当社は、筑波技術研究所(茨城県つくば市)にて、ZEBの実現に向けて2017年に建設され、所期の実証作業を終えた環境技術実証棟を、省エネルギーに加えてカーボンマイナス※2に向けた新たな取り組みをスタートさせるために、グリーンオフィス棟へとリニューアルしました。
グリーンオフィス棟は、建物四周を壁面緑化ユニットで覆い、室内はバイオフィリックデザインを取り入れて、新しい働き方への対応を考慮した室内環境を構築しています。また太陽光発電や地中熱利用、AI制御によるタスクアンビエント空調などを取り入れて省エネルギー化を図っています。建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)において「ZEB」を取得し、一部は環境省補助事業として実施しており、現在はCASBEE、WELL認証の取得を進めています。今後はグリーンオフィス棟を所員の執務スペースとして使いながら、カーボンマイナスの実現に向けたさまざまな技術の実証を行う計画です。

  • ※2カーボンマイナス:施設のライフサイクルにおいて、施工時や廃棄時に加え、エネルギー消費などの運用にともなうCO2排出量(プラス要因)に比べて、再生可能エネルギーの利用と木材・樹木によるCO2の固定・吸収による削減効果(マイナス要因)が大きく、収支としてマイナスとする考え方。
カーボンマイナス棟概要
カーボンマイナス棟
構造
鉄筋コンクリート造(免震構造)
階数
地上2階
建築面積
379.61m2
延床面積
674.38m2

ライフサイクルコストの試算

ライフサイクルコストとは

ライフサイクルコスト(LCC)とは建物の企画設計から、施工、運用、解体されるまでの全生涯(ライフサイクル)における費用です。LCCで最も大きな割合を占めるのは建設費ではなく、運用費(修繕・更新費や点検・保守・清掃・警備費、電気代・ガス代などエネルギーコストの合計費用)です。特に修繕・更新費は年度により大きく異なることから、事前にその費用を把握することが、計画的な修繕・更新の実施につながり、建物の長寿命化や建物の資産価値の維持・向上に役立ちます。

LCCイメージ

戸田建設の取り組み

戸田建設ではLCCを作成するシステムにより建物が竣工した際などに、長期修繕計画書を作成しています。お客様が将来的に必要となる費用を算出し、建物の適切な修繕・更新時期を把握することに役立てることができます。

長期修繕計画書例
LCC算出例

「アーリークリート®」を用いた施工時CO2排出量の縮減

従来、山岳トンネルやシールドトンネルの覆工コンクリートなど、短時間で型枠を脱型する構造物の場合、寒冷地などの施工条件によっては所要の時間で必要強度が得られないことも少なくなかった。このため現場では、使用セメント量を上げる、ジェットヒーター等を多数配置して養生温度を上げるなどの対策が取られてきた。本開発では、現場条件に応じた混和材料を添加することでジェットヒーター等によるCO2排出量を上げることなく、必要な初期強度を確保する工法(「アーリークリート®」)を開発した。本開発により、施工時におけるセメントや養生設備に起因する過剰なCO2排出量の縮減が可能となった。

現場状況
硬化促進剤

低炭素型コンクリートが建設材料技術性能証明を取得「スラグリート®

当社と西松建設(株)は、一般社団法人日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明を、共同で開発したセメント質量の70%を高炉スラグ微粉末で置換した低炭素型のコンクリート「スラグリート®」により取得しました。

「スラグリート®」とは、製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末をセメントの代替材料として積極的に活用した低炭素型のコンクリートです。「スラグリート®」を使用することで、コンクリート製造時における二酸化炭素の主たる排出源となるセメントの使用量を大幅に低減することが可能となり、普通コンクリートと比較してCO2排出量を約65%削減することができます。今回、第三者機関の建設材料技術性能証明を取得したことにより、本技術の建設分野での適用を、さらに進めていく予定です。

建設材料技術性能証明書
建設材料技術性能証明書
「スラグリート®」の混和材使用率
「スラグリート®」の混和材使用率
壁状部材の温度解析結果(例)
壁状部材の温度解析結果(例)
コンクリート製造時におけるCO2排出量の削減効果
コンクリート製造時におけるCO2排出量の削減効果

環境配慮燃料の利用促進

当社が排出しているCO2の90%は作業所によって排出されています。またそのうち60%は軽油を利用する事に由来しております。
カーボンニュートラルに向けての活動に於いて、軽油の利用量削減が重要な課題になります。その為に以下の手法を作業所に推奨しております。

燃料添加剤(K-S1)の積極的な採用

現場で使用する重機の軽油に添加することにより燃費が改善され、結果としてCO2の排出量の削減効果につながる燃料添加剤(K-S1)を活用しています。重機や建設系車両の軽油に添加(0.1%添加:100ℓに対して100CC)することにより、燃費が10%程度改善されます。CO2排出量削減のほかに、大気汚染の原因となる排気ガス内のPM・NOx等の削減にもつながり、トンネルなどの厳しい作業環境の改善や作業員の健康への負荷軽減にも寄与することが期待されます。協力業者にも利用を推奨し、全国的に活用しております。2020年度は10万L相当の軽油に添加し、CO2排出量の削減は270t-CO2になりました。

K-S1
K-S1
ドリルジャンボ
ドリルジャンボ

バイオディーゼル燃料(BDF100)の利用

CO2排出量をカウントしない燃料(力ーボンニュートラル)として、植物性の食用油を精製した再生燃料であるバイオディーゼル燃料の現場での利用拡大を図っています。バイオディーゼル燃料の品質のばらつきがあるため蒸留した高純度バイオディーゼル燃料を利用し、機械を限定して活用しております。また利用を促進するためリース会社と協調して、当社用にBDF専用発電機を用意し、建築作業所における鉄骨やスタッド溶接等に利用しております。トンネル工事においては別のリース会社の協力のもと、重ダンプ、ミキサー車、ユニック車等でBDF100を本格的に使用しています。2020年度の利用量は66,000Lを越え、170t-CO2以上のCO2排出量削減を実現しております。

BDF燃料専用発電機
BDF燃料で稼働する重ダンプ

環境配慮型燃料(GTL)の使用開始

2020年3月、自社の旧本社ビル解体工事作業所で環境負荷の少ないクリーンな天然ガス由来の軽油代替燃料であるGTL燃料を都内の作業所としてはじめて利用しました。
この燃料は軽油と比較してCO2排出量を約8.5%削減することができることや、煤が少なく無毒性で、貯蔵の安定性にも優れているなど、さまざまな利点を有する次世代の環境配慮型燃料であり、オフロード車両において使用することができます。前述の本社ビルの工事を皮切りに、配送可能範囲(関東・中部・関西)に適した範囲の作業所に活用を推奨しております。2020年度の利用量は19万Lを越え、43t-CO2以上のCO2排出量削減を実現しております。

GTL燃料で稼働する重機
GTL燃料稼働を示すステッカー

再生可能エネルギーの活用

当社が初めて発電事業者として取り組んだ「長崎田手原メガソーラー発電所プロジェクト」は、2015年4月に竣工し、発電を開始しています。この発電所はモジュール容量が13.2MWという大規模なものです。
また、太陽光発電以外にも、洋上風力発電、バイオマス発電についても取り組んでいます。

子会社で浮体式洋上風力発電の事業化を推進

当社は、2007 年から浮体式洋上風力発電の実験と検証を重ね、2013 年に環境省浮体式洋上風力発電実証事業の受託者グループ代表として、長崎県五島市椛島周辺海域において、2MW 風車を搭載したハイブリッドスパー型(浮体部の下部をコンクリート、上部を鋼で構成した風車)浮体式洋上風力発電設備において発電を開始し、運用に向けて知見を深めてきました。2014 年からは、浮体式洋上風力発電による電力を活用した水素の製造・貯蔵・運搬の実証と、燃料電池船の開発事業も受託し、離島におけるエネルギーの利活用や漁業との協調など、地域の発展に資する再生可能エネルギーの実現にも取り組んできました。
これらの環境省実証事業は2015 年度末に終了しましたが、今後も、当社はより積極的に、浮体式洋上風力発電の普及促進を目指してまいります。この第一歩として、当社は五島フローティングウィンドパワー合同会社(当社100%子会社)を設立し、五島市と共同で崎山漁港沖にて2MW浮体式洋上風力発電所の運転を継続しています。また、「五島市沖洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書」の縦覧手続きをすすめ、同事業の実現に向け取り組んでいます。

燃料電池船

太陽光発電事業を展開

当社は、太陽光発電事業に発電事業者として参加しています。2015年4月に竣工した「長崎田手原メガソーラー発電所(13.2MW)」を皮切りに、「長崎さくらの里メガパワー発電所(2.1MW)」、「宮崎国富メガソーラー発電所(4.2MW)」の3件が九州地方に、「川俣町山木屋地区復興メガソーラー発電所(2.2MW)」が福島県川俣町に完成し、発電事業を展開中です。九州地方の3件に関して、当社はEPC※2業者としての役割も担い、建設工事にもかかわりました。

  • ※2EPC:設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を請け負う業務のこと。
長崎田手原メガソーラー発電所(13.2MW)
宮崎国富メガソーラー発電所(4.2MW)
長崎さくらの里メガパワー発電所(2.1MW)
福島県川俣町山木屋地区復興メガソーラー発電所(2.2MW)

作業所で仮設太陽光パネルを利用

当社、施工中の都立豊島高校改築作業所(2021年9月末竣工予定)では、脱炭素施工に向けて、建設現場の安全通路の屋根を利用して太陽光パネルを設置し、作業所仮設電力として利用しています。
また、発電量を可視化できるよう仮設事務所にモニターを設置し、状況を把握することができます。2020年度は、合計12ヶ所の作業所(106kW)に設置し利用しています。

安全通路の屋根を利用して太陽光パネル設置

気候変動対策で最高評価
“気候変動への対応に関する調査”で最高評価のAリストに認定

当社は、環境評価を行う国際的な非営利団体CDP(本部:ロンドン)から、最高のランクである「The Climate A List 2020」(以下:Aリスト)として3年連続認定されました。
今回の評価は、われわれが日々取り組んでいるCO2排出量削減活動や、環境保全活動が高く評価されたものと考えています。今後も当社の独自性のある環境技術、ノウハウを生かし、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

気候変動対策で4度目の最高評価

「サプライヤー・エンゲージメント評価」で最高評価に選出

当社は、CDPから、「CDP2020サプライヤー・エンゲージメント評価」において最高評価である「リーダーボード」に選出されました。
サプライヤー・エンゲージメント評価は、気候変動課題の解決に向けて、当社がサプライヤーに対していかに働きかけ、連携したかを対象としています。
2020年度は、世界で396社(うち日本企業83社)が「リーダーボード」に選出されました。

CDP「Aリスト」に続き「サプライヤー・エンゲージメント評価」で最高評価に選出

環境情報の独立第三者の保証

当社は、コーポレートレポートに掲載する2020年度のCO2排出量データに対する公平性、確実性、および透明性を確保するために、(株)サステナビリティ会計事務所による第三者検証を受けました。検証はISAE3000ならびにISAE3410に基づいて実施されました。
第三者による検証を受けることにより、課題を洗い出し、今後さらなるCO2排出量削減に向けた取り組みを進めてまいります。
検証の対象:全エネルギー消費量スコープ1、2(エネルギー起源の二酸化炭素排出量)、スコープ3(サプライチェーンで発生する二酸化炭素排出量)、および施工中のCO2排出原単位、再生可能エネルギー発電量、建設廃棄物排出量、廃プラスチック類排出量、水使用

  • SCIENCE BASED TARGETS DRIVING AMBITIOUS CORPORATE CLIMATE ACTION
  • RE100
  • ECO FIRST
  • BOSS IKUBOSS AWARD 2016