社会 人財戦略

人財への投資拡大による人財価値の向上

当社グループは、「“喜び”を実現する企業グループ」をミッションとし、次代=150周年に向けた経営戦略として「未来ビジョンCX150」を策定しました。その中で、当社グループが目指すべき姿を「顧客に寄り添い、情報や機能のこれまでにない組み合わせを実現し新たな価値を創造する“価値のゲートキーパー”」と定め、新たな“体験価値”を提供することを通じて、他社との差別化を図り、企業価値の向上を目指しています。
これらのミッションや経営戦略を実現させる主体は「人財(従業員)」に他なりません。ゆえに人財戦略=投資と位置づけ、対象領域として人財開発・人事制度の刷新・働き甲斐改革・ダイバーシティ&インクルージョン・グローバリゼーションの5つの領域を定めました。今後、各領域が連動して施策を展開することにより、経営ビジョンを実現できる価値の高い人財(次世代経営人財)を継続的により多く輩出することを目指し、また、組織開発や人財のアロケーションにより、施策の実効性を確保し、組織力と人財価値の最大化に取り組みます。

[ミッション]経営ビジョン・戦略の実現

人事制度の刷新

当社では、若手からシニア層に至る従業員一人ひとりが、働き甲斐を実感でき、前向きに自己実現を図り、エンゲージメントが向上することにより経営戦略の実現や企業価値の向上に資するよう、2023年度より新人事制度を導入しました。
新たな等級・報酬制度は、従来の年功的要素を排除して、実力主義により役割や貢献度に応じた役職付与や報酬へ
と移行するものです。市場競争力のある報酬水準とすることにより、優秀人財の定着・成果発揮や戦略・重点領域の外部専門人財の獲得など、中長期的な企業競争力の強化を企図しています。
また、より納得性・公平性の高い新たな評価制度への移行や、65歳までの選択定年(定年延長)制度の導入や70歳までの再雇用制度の拡充、人財流動化を促進する役職定年制度の導入など、将来に向けて持続的な企業価値の向上の基盤となる新たな人事制度へと刷新しました。
今後、新人事制度を基盤として組織開発や人財ポートフォリオの策定など人財戦略の各取り組みを推進していきます。

役割・貢献度による評価・処遇 社内外環境・就労観変化への対応 優秀人財への適切な処遇 処遇の市場競争力 賃金体系のオープン化 新たな人事制度へ刷新(2023年度より導入)

働き甲斐改革

従業員一人ひとりが日々の仕事に働き甲斐を感じて、気持ちをひとつにチャレンジ精神を持っていきいきと仕事に臨むことができる環境を構築することで、新しい価値が生み出されます。
当社では、従業員一人ひとりが思い描く理想の「ライフ(人生)」を実現する手段のひとつして「ワーク(仕事)」を考え、家族や趣味、学びなどの手段とともに、より自分らしく、充実した働き方を選択するWork in Lifeの考え方を重視しています。
2024年度から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されることからも、近年、総実労働時間の短縮や、休暇取得日数の増など働き方改革を全社的に推進しています。
また、健康経営の実現に向けた取り組みに注力しており、その結果、2019年度以降、継続して健康経営優良法人に選定され、うち2019年度から2022年度はホワイト500の認定を受けています。
さらに、経営者目線で事業案を考え、これまでの業務ではチャレンジできなかった領域に踏み出すことができるなど、従業員がより大きなやりがいや成長を実感できる機会を提供することを目的として、2023年度より社内ベンチャー制度を導入しました。
今後も引き続き、従業員がWork in Lifeを追求して、日々の業務に働き甲斐を実感できるような環境づくりを進めていきます。

過去5年実績
労働生産性の実績・目標
働き甲斐改革の取り組み

当社では、主に新規事業の創出を目的として、2023年に社内ベンチャー制度(プログラム名称“GATE”)を導入しました。
GATEは、従業員が新規事業を会社に提案し認められた場合に、そのプロジェクトに対するバックアップや予算、施設の提供など、会社が一定の援助を行い、事業化あるいは会社設立を目指すプログラムです。参加した従業員はプログラムの参加を通して、新規事業に明るい外部パートナーによる研修やメンタリングのサポートを受けることができます。新規事業への情熱を持ち続けられるように会社が伴走支援する点が特徴です。
導入初年度となる今年度は、2023年1月に応募受付を開始し、2023年8月に実施した二次審査に10チームが臨み、うち5チームが年末の最終審査に向けて新たなステージに進んでいます。
従業員の思い入れの強いアイデアをもとにしたボトムアップ型であり、会社が伴走支援することにより、従業員の新たな領域へのチャレンジを促して、いきいきと活気ある社風の形成や、経営者目線を備えた人財の育成などを企図しています。
今後も、従業員にとって、大きなやりがいや達成感、成長を実感できる機会を創出して、働き甲斐の向上に向けた取り組みを推進していきます。

キックオフ会議
キックオフ会議
二次審査
二次審査
プログラムの全体イメージ
フレックスタイム制の導入
全社をあげて「労働生産性の向上」、「総労働時間の短縮」、「健康経営」などの「働き方改革」に取り組んでおり、その一環として本制度を導入しています。2020年6月21日よりフレックスタイム制の「コアタイムを廃止」して、より効率的・効果的な新たな働き方に自律的に挑戦することにより、個人および組織の成果拡大につなげる他、労働時間管理を「1日」から「1ヵ月」の総実労働時間へと移行することで、より計画的な働き方への意識の醸成を図り、年間の総実労働時間の減少と個々の自由時間や自己啓発など自己への投資の時間の創出を目指しています。
休暇取得の推進

当社においては、プライベートの充実を含めた働き方の見直しや健康増進を目的として、従業員一人ひとりが計画的に、より自主的に休暇を取得できる環境づくりを実践しています。

  1. 1計画年休(年次有給休暇の計画的付与)の活用を徹底
  2. 2夏期休暇を「一斉取得」から「分散取得」へ変更し、柔軟に取得できる環境を整備
  3. 3時間有休(年次有給休暇の時間単位付与)の制度を新設
  4. 4有休の付与日数を勤続年数に関わらず一律20日/年とし、より取得しやすい環境を醸成
  5. 5定期的な有休取得状況の公表や個別のフォロー

これらの施策の結果、有休取得実績(全従業員の平均取得日数)は10日以上に至り、有休取得率は63.3%と高い水準を維持しています。

在宅勤務制度の導入
個々の価値観や生活スタイルなどを尊重できるよう制度の選択肢を増やし、その組み合わせ(掛け合わせ)によって「働きやすさ」を最大化・最適化することが経営課題となっています。コロナ禍にともない、在宅勤務は多様な働き方のひとつとして定着しつつある中、育児・介護等の用途に限定せず、「働き方改革」の観点から全従業員が在宅勤務を活用できるよう2021年度より全面的に制度を見直し、拡充しました。
また、社内外のサテライトオフィスでの勤務も可とし、より働きやすい環境整備を推進しています。
スマートオフィスビル

昨今の社会情勢の変化によりオフィスの在り方が多様化している環境下でも、社員の個性やアイデアを活かし多様なコラボレーションが活性化して人が活きるオフィスの実現を目指しています。そのために、スマート技術を活用して社員へ便利なサービスを提供するスマートオフィスアプリ「T_ReCS※1」や、在宅勤務とオフィス出社のハイブリッドな働き方を支援する「デジタルツインスマートオフィス※2」の開発をしています。

人財開発

基本的な考え方

「中期経営計画2024ローリングプラン」の一環として、人財の育成・開発を強化する方針を定め、来る150周年に向けて、2024年度までの3ヵ年で累計30億円の人財投資を行う計画としています。また、従業員の成長実感を促し、自律性を育むほか、将来の戸田建設を担う次世代経営人財を計画的に育成・創出すべく、2022年度より研修体系(Off-JT)を大幅に刷新しており、研修受講者や時間も年々増加しています。また、職種別専門研修についても見直しを行い、各事業領域において人財投資を積極化しています。
すべての年代・職種に対して自律的なキャリア構築意識を醸成し、学習への気づきを誘発するためのキャリアコンサルティング制度やリスキリング制度もその一環であり、継続的な改善による個々の能力・価値の向上を図ります。

人財の育成・開発に関する実績
研修体系(Off-JT)の刷新
当社は、人財開発・育成の基本方針を、「多様・多彩な人財を育成・確保し、事業基盤を強化する」と定めています。その観点より、OJT(On the Job Training)による育成を主体に、若いうちから仕事を任せて幅広い責任のある業務を担当させることで、業務上の課題を自ら解決する経験を積んで、一人ひとりの能力向上が促進されると考えています。
Off-JTでの人財育成では、現行職務におけるスキルアップを主目的とする研修プログラムと、一人ひとりのキャリアアップの志向に合わせて選択できる開発プログラムを整備し、目先の業務だけにとらわれず中長期的な個人の成長を促しています。
また、「学び」を習慣化し、より高度な専門知識・能力の習得を促すことにより、人財価値や競争力の強化を図ることを目的として、公的資格や免許、博士号の取得補助制度を拡充し、その対象は現在200種以上となっています。特に、一級建築士など重要な資格については入社前の取得費用も補助対象とするなど、キャリア全体において個人の成長を支え、キャリア自律を促す仕組みを整備しています。
階層別研修全体像
次世代経営人財育成/サクセッションプラン

ミッションの実現に向けて当社を牽引する「次世代経営人財」を継続的に輩出することが、技術革新等を通じた提供価値の向上、ひいては当社の企業価値の向上につながると考えています。
当社では、次世代経営人財候補者が常時50人程度プールされている状態を3~5年(2023~2025年度)で実現するために、全社横断的な取り組みを実施しています。
具体的には、毎年度、各事業本部において選抜されたポテンシャル人財50名を、伴走型コーチングを中心に効果的な育成施策を展開することにより経営人財にドライブすることを企図するものであり、伴走型コーチングにおいては、人事統轄部に所属する社内のキャリアコーチによる1on1の定期的・継続的なコーチングを実施しています。
また、ステークホルダーの目線に立ったコーポレートガバナンス体制の確立に向けて、社長の後継者計画(サクセッション・プラン)の策定に着手しました。次の社長選任に向けて、社長を中心に、取締役会、人事・報酬委員会および人事統轄部の関与により、大枠のプロセスをロードマップに反映する等、具体化に向けた検討を進めてまいります。
なお、後継者計画は、現行の伴走型コーチング支援による次世代経営人財育成の仕組みを接合、発展させるものであり、各事業本部長や統轄部長等のエグゼクティブ層を含めた総合的な育成計画の構築を図ります。

伴走型コーチング支援
キャリアコンサルティング/リスキリング
人生100年時代を迎える中、当社においても2023年度より65歳迄の選択定年制度を導入し、再雇用制度を70歳迄拡充するほか、役職定年制度を導入しました。就業期間の長期化を背景として、従業員個々が会社における役割や貢献の仕方を適切に認識したうえで自律的なキャリア構築意識を醸成し、また学習への気づきを誘発することを目的として、節目の年齢における社外のキャリアコンサルタントによる1on1のコンサルティングを導入、実施しています。
また、デジタル化の進展やVUCAの時代への対応にともない、価値提供のプロセスが大きく変わり、求められるスキルや能力が変化しています。当社は、従業員が変化に対応して現行業務で求められるスキルを獲得して、それにより価値創造が続けられるよう、キャリアコンサルティングの受講者のうち希望者について、いつでも自発的に学び直しができるリスキリングのプログラム(e-ラーニング)を導入しました。
キャリアコンサルティングの導入(リスキリング推進)
キャリアコンサルティングの導入(リスキリング推進)
  • SCIENCE BASED TARGETS DRIVING AMBITIOUS CORPORATE CLIMATE ACTION
  • RE100
  • ECO FIRST
  • BOSS IKUBOSS AWARD 2016